内定率98.4%と、卒業者の就職56.3%は分母が違う

東京都立大学が公開する2025年度卒業・修了生の資料では、学部生の就職内定率は98.4%です。大学は、この指標を就職希望者のうち実際に就職した人の割合と説明しています。卒業者全員の98.4%が就職したという意味ではありません。[1] [2]​​​‌‌‌‌​‌‌​‌‌​​​​‌‌​‌​​​​​​​‌‌​‌‌​​​​‌​​‌​‌​‌​​​‌‌​‌​‌‌​​​‌‌​‌​​

同じ資料の学部卒業者1,616人の進路は、就職56.3%、進学38.9%、その他4.8%です。進学する人を含む卒業者全体の構成なので、内定率と並べて高低を比較することはできません。[2]

研究科の博士前期課程修了者については別に集計されています。学部で就職する場合の見通しを考えるときに、大学院修了者の実績を自分の学部の数字として使わないようにしましょう。大学名だけで進路を一括りにすると、こうした違いを見落とします。[2]

数字は進路を考える入口です。内定率が高いことから自分の志望企業への合格を保証したり、進学率が高いことから就職が不利だと決めたりすることはできません。まず、自分の学部と希望する進路に対象をそろえて読みます。

7学部の違いを確認して、自分に必要な準備を選ぶ

2025年度の学部別資料を並べると、卒業後すぐに就職する割合と進学する割合には違いがあります。下表はいずれも各学部の卒業者全体を分母とした進路構成です。残りは資料上の「その他」であり、就職を希望したかどうかまではこの表から分かりません。[1] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]

2025年度卒業者の進路構成(大学公表値)
学部卒業者就職進学
人文社会学部209人83.3%11.5%
法学部225人84.9%7.6%
経済経営学部200人87.5%3.5%
理学部189人25.9%69.8%
都市環境学部283人35.7%61.5%
システムデザイン学部311人21.5%75.2%
健康福祉学部199人76.9%20.6%
[4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]

理学部やシステムデザイン学部などで進学者が多いことは、学部で就職してはいけないという意味ではありません。自分が関心を持つ職種の応募資格と、研究を続けたい理由を別々に確認します。学部全体の傾向を、個々の学科や研究室の実績に置き換えないことも必要です。

人文社会・法・経済経営では、企業と公務など複数の進路を比較する準備が考えられます。健康福祉では医療機関等の募集区分や資格条件を、自分の学科の課程に即して確認することが重要です。学部名を知ったところで止まらず、自分が受ける選考の条件へ進みましょう。

就職先一覧は候補を広げるために使う

学部別資料には、たとえば経済経営学部のNTTデータや三井住友カード、都市環境学部の清水建設や東京都庁、健康福祉学部の東京都立病院機構などが掲載されています。異なる分野の進路があることは確認できますが、掲載名だけでは配属職種や採用条件は分かりません。[6] [8] [10]

企業名に安心したくなるときほど、自分が入社後に何をする募集なのかを確認します。同じ企業でも応募区分が異なることがあり、一覧にある企業の全職種へ応募できると断定することはできません。持株会社と事業会社、系列の別法人も分けて見ます。

掲載実績から次に調べる項目(編集部提案)
知りたいこと確認する場所・内容
どんな仕事か採用ページの職種と業務説明
応募できるか学位・専攻・資格などの応募条件
どこで働くか勤務地と異動に関する募集案内
何を準備するか選考の案内と必要書類
自分と合うか説明会や相談で確かめたい疑問

大学の資料だけから大手内定率、企業ごとの合格率、学歴による選考基準は分かりません。大手への応募を考えることと、実績だけに期待することは分けましょう。企業の規模に加えて、仕事内容と自分の関心が合うかを比較すると、応募理由が具体的になります。

就職・進学・公務・医療職を同じ準備で進めない

大学内に複数の進路があるからこそ、友人と同じ行動をしていないことだけで遅れを判断しないようにします。研究を続ける人、企業に応募する人、公務の選考を受ける人では、集める情報や必要書類が変わります。自分の卒業予定時期と応募先の案内を基準に準備しましょう。

進路別に最初に整理すること(編集部提案)
選択肢自分への問い確認する条件
学部卒での企業就職何の仕事に関わりたいか職種・学位・専攻条件
大学院進学何をさらに研究したいか研究分野・入試・費用と期間
公務どの機関で何に関わりたいか機関ごとの試験区分・日程
医療等の専門職どの専門でどんな環境を選ぶか資格要件・募集区分・選考方法

進学と就職の両方に迷っている段階でも相談はできます。「進学するべきか」と結論だけを求める前に、研究を続けたい理由と、今気になる仕事をそれぞれ一つ書いてみてください。比較に必要な情報が欠けているのか、優先順位を決められていないのかが見えやすくなります。

資格が関係する進路では、授業を履修したこと、国家試験の受験資格、資格取得を混同しないようにします。自分の課程と募集要項を照らし、分からない点は学部の窓口で確認してください。ここで示す進路の整理は編集部の提案で、個別の資格取得や採用を保証するものではありません。

大学名への不安を、説明できる経験に変える

就活で話せる大きな実績がないと感じたら、授業、ゼミ、実験、実習、アルバイトの中から、自分の行動を一つ選びます。大学名を強みとして押し出すより、どう考えて行動したかを伝える材料を増やしてみましょう。

  1. 何を達成しようとしたかを短く書く。
  2. 困った点と、その時点で分かっていたことを分ける。
  3. 自分が選んだ方法と理由を書く。
  4. 結果を確認できる事実で説明する。
  5. 応募する仕事とつながる点、まだ学ぶ必要のある点を整理する。

編集部の架空の例では、ゼミの発表で資料の結論が食い違ったとき、対象期間や調査対象の違いを確認して整理した経験が考えられます。「調整力があります」と言うだけでなく、何を確認して説明を変えたかを話す形です。実際に経験したことに置き換え、架空の成果を自分のものとして使わないでください。

理系の研究や医療系の実習でも、専門用語をすべて説明する必要はありません。目的、工夫、自分の担当範囲を整理し、専門外の相手にも伝わる言葉にします。他者の成果を自分の成果にしたり、実習先などの個人情報を出したりしないように注意します。

キャリア相談には、迷いが見えるメモを持っていく

東京都立大学のキャリア相談では、自己分析、企業研究、応募書類、面接練習、公務員関連、大学院進学などを相談できます。都立大キャリア支援システムから予約し、利用方法や書類の扱いは最新案内を確認してください。[3]

最初から完成した自己PRを用意する必要はありません。候補の求人二つ、話せそうな経験一つ、分からないこと一つを持っていく形でも、次に調べることを決めやすくなります。相談後は「情報収集を続ける」で終わらず、応募条件を一つ確認する、経験の説明を一段直すなど、実行する作業を決めましょう。

  • 今日:自分の学部の資料で、就職と進学の分母を確かめる。
  • 今週:関心がある募集を二つ選び、仕事内容と応募条件を比較する。
  • 次の相談:経験のメモと疑問を持参し、準備する項目を決める。

応募先の整理や自己PRの作り方で迷う場合は、逆転就活塾の無料相談も活用できます。大学名への漠然とした不安を、仕事について知りたいことと、自分の経験を説明する準備に分けて進めていきましょう。

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 2025年度卒業・修了生 進路データ確認日:2026-09-10 / 対象年度と全7学部の資料一覧
  2. 2025年度卒業・修了生 全体確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部の就職内定率と進路、博士前期課程との区別
  3. キャリア相談確認日:2026-09-10 / 相談内容・予約方法
  4. 人文社会学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  5. 法学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  6. 経済経営学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  7. 理学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  8. 都市環境学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  9. システムデザイン学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例
  10. 健康福祉学部 2025年度進路確認日:2026-09-10 / 全1頁、学部卒業者の進路構成と就職先例

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