進学69.8%の意味を、就職難と取り違えない

大学の2025年度卒業・修了生データにある理学部資料は、189人の卒業後の進路を示しています。進学69.8%、就職25.9%、その他4.2%という構成です。就職希望者に対する就職率や内定率ではありません。[1] [2]​​‌‌​​​​​​​‌​‌‌​‌‌‌‌​‌‌‌‌‌​​​​​‌​​‌​​​‌​​​‌​‌​​​​‌‌​​​‌‌​​​‌‌‌​​

卒業後に研究を続ける人が多い学部では、卒業者全体のうち就職した人の割合は小さくなります。しかし、学部就職で希望がかなうかどうかは、この割合だけでは分かりません。進学した人が多い事実と、自分が院進学に向いているかは別の問題として考えます。

同じ資料には就職先の業種も掲載されていますが、その構成を卒業者全員の業種別割合に読み替えないようにしましょう。大学院修了者の進路資料も別にあり、研究科の実績を学部卒の採用実績として足すことはできません。[1] [2]

企業・教育・公務の掲載例を、職種の調査へつなげる

2025年度の学部資料には、製造業の富士通、本田技研工業、情報通信業のNTTデータ、TIS、公務の気象庁、国土交通省などが掲載されています。これらは学部をまとめた例で、学科別の採用人数や配属職種を示すものではありません。[2]

研究職や開発職を希望する場合は、社名から職種を推定せず、求人に書かれた学位、専門、業務内容を調べます。「メーカーに就職した=研究職」とは限りません。同じ企業でも募集区分で条件が違うかを確認し、学部卒で応募できる仕事を具体的に並べてみましょう。

仕事内容から応募先を調べる観点(編集部提案)
関心求人で確かめること経験から探す材料
研究・開発必要な学位、専門分野、扱うテーマ問いの設定、方法の比較、結果の解釈
情報・データ実際の業務と求められる技術数理的な考察、プログラムや分析の経験
技術の支援・提案顧客と扱う製品・サービス専門外の人へ説明した経験
教育・公務免許等の条件、採用・試験区分相手の理解に合わせた説明、関心ある公共課題

大手の名前に引かれても、「自分のどの学びがその仕事につながるか」を考える工程は省けません。今回の資料に大手内定率や企業内の大学別選考基準は示されていないため、大学名だけで合否を予想するのは避けます。

数理・物理・化学・生命科学で、説明の材料は違う

理学部は数理科学科、物理学科、化学科、生命科学科の4学科で構成されています。基礎科学の学びを共通して重視していますが、経験を説明するときには「理系です」でまとめず、自分が使った方法に踏み込みましょう。[3]

公式カリキュラムと振り返りの問い
学科学びの例振り返る問い(編集部)
数理科学代数・幾何・解析・応用数理、少人数セミナー証明や説明のどこで行き詰まり、何を確かめ直したか
物理力学・電磁気・統計力学・量子力学、実験・演習理論と測定結果の違いに、どんな説明を考えたか
化学無機・分析、有機・生物、物理化学と実験条件や測定の違いをどう管理して比べたか
生命科学実験・実習、生物学自主研究問いをどう絞り、観察・実験をどう組み立てたか
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数理科学なら実験装置を扱った経験がなくても、前提を整理して議論を組み立てた過程を説明できます。実験系なら、結果の良さだけでなく、記録や比較の方法も材料です。自分の履修や研究で実際に行った作業を選び、専門用語は目的を説明した後に必要な分だけ使います。

院進学は、研究の問いと費用を合わせて検討する

進学を考えるときは、「まだ就職したくない」以外に研究を続けたい理由があるかを整理します。今の学びで疑問に感じたことを一つ書き、どの研究室でどの方法を学びたいかを調べましょう。研究内容や指導体制の相性も、就職実績の社名と同じくらい確認が必要です。

進学・就職で共通して検討する表(編集部提案)
確認する問い
希望する仕事求人の学位・専門条件は何か
研究への関心さらに時間を使いたい問いは何か
費用と生活学費と生活費をどう見込むか
準備期間院試と就活、卒業研究を両立できるか
相談先指導教員・就職担当・キャリア相談に何を聞くか

逆に、学部卒で仕事を始めたい理由があるなら、それも具体化できます。就職と院進学を優劣で比べるのではなく、今の自分がどの環境で何を学びたいかを考えます。迷った段階では応募条件や院試日程を集め、締切が来る前に教員へ相談することが先です。

研究概要は「問い・方法・自分の判断」で組み立てる

エントリーシートの研究説明は、論文の要約とまったく同じにする必要はありません。専門外の相手が読むことを想定し、何を明らかにしたいか、どう取り組んだか、自分はどの判断をしたかの順にまとめます。先行研究の成果と自分の成果、完了と未完了も分けます。

  1. 問い:何が分からず、なぜ調べる価値があるかを短く書く。
  2. 方法:選んだ手法と、その手法で確かめられる範囲を示す。
  3. 担当:共同作業の中で自分が担当した部分を分ける。
  4. 結果:確認できたことと、まだ言えないことを区別する。
  5. 改善:次に検証する点と、仕事にも持ち込みたい姿勢を書く。

編集部の架空の例では、「実験がうまくいかなかったため努力した」より、「日によって結果が異なったので、記録の取り方をそろえて条件を比較し、次に確かめる要因を絞った」と表せます。これは例文であり、実際に行っていない検証を加えてはいけません。

研究室配属前なら、講義の演習や自主研究を使えます。大きな成果がないことを隠すより、難しい点にどう向き合い、誰に質問し、理解をどう更新したかを話しましょう。未公開のデータや共同研究の情報は、外に出せる範囲を教員に確認します。

専攻の相談と、選考の相談を使い分ける

大学は理・都市環境・システムデザインの各学部・研究科に就職担当教員を置き、学校推薦求人、研究室ごとの説明会、専攻に特化した相談はまず担当教員へ問い合わせるよう案内しています。推薦を使う場合は、対象と手順を自分の所属で確認します。[8]

一方、キャリア相談は企業研究や書類添削、面接練習、進学を含む進路の相談を案内しています。「専門がこの募集に合うか」は教員に、「専門外の人へ説明が届くか」は面接練習で確かめるなど、相談の目的を決めると準備が進みます。[9]

  • まず1職種の募集要項を読み、学部卒の応募条件を書き出す。
  • 次に研究・演習から一つ選び、自分の判断を箇条書きにする。
  • 相談で不明点を確認し、応募または院試の次の準備を一つ決める。

学歴や経験への不安で動けないときは、逆転就活塾の無料相談も利用できます。研究を立派に見せるためではなく、今ある経験を正確に伝え、応募先との接点を見つけるために整理していきましょう。

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 2025年度卒業・修了生 進路データ確認日:2026-09-10 / 年度確認
  2. 理学部 189名確認日:2026-09-10 / 2025年度学部卒業者・全1頁
  3. 理学部確認日:2026-09-10 / 現行4学科
  4. 数理科学科確認日:2026-09-10 / 4分野と少人数セミナー
  5. 物理学科確認日:2026-09-10 / 基礎科目・実験と演習
  6. 化学科確認日:2026-09-10 / 3分野・実験・卒業研究
  7. 生命科学科確認日:2026-09-10 / 生物学自主研究と実験・実習
  8. 理系学部・研究科の就職担当教員確認日:2026-09-10 / 学校推薦・研究室の説明会・専攻相談
  9. キャリア相談確認日:2026-09-10 / 書類・面接・進路相談

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