採用選考に参加するための支障を伝える

厚生労働省は、雇用分野での障害者差別の禁止と合理的配慮の提供義務を案内しています。ここでは、障害のある学生が募集・採用の場面で必要な対応を相談する準備を扱います。[3]​‌‌​‌​‌‌​‌‌​​‌​​​‌​​‌‌‌‌‌‌​‌‌​‌‌‌‌‌‌​​​​‌‌‌‌‌​​​​​‌​​​​‌‌‌​​​​‌‌

例えば面接で説明したい経験は用意できていても、質問を受け取る方法に支障があれば、そのままでは話し始められません。自己PRの内容を直す作業と、選考に参加できる条件を整える相談を分けると、必要な支援を伝えやすくなります。

診断名だけでなく、選考の場面を一つ選ぶ

相談前に作るメモ(編集部作成)
自分について書くこと
選考の場面オンライン面接、会場の移動、筆記試験など
案内されている方法音声通話、会場の階、紙の問題など
支障どの作業が難しく、何が起きるか
これまで役立った対応大学等で使っている方法があれば記入
希望する方法候補があれば記入。未定でもよい
選考日時準備・調整が必要になる日

これは編集部の整理用の表で、企業の申請様式ではありません。すべてを埋めてから相談しようとせず、まず困る場面が分かるところまで書きます。選考の形式自体が不明なら、先に案内の詳細を尋ねることから始められます。

配慮の具体策が思いつかなくても相談できる

合理的配慮指針は、募集・採用時に支障と希望する措置を申し出ることとし、具体策を示すのが難しい場合は支障を明らかにすれば足りるとしています。また準備が必要なため、面接等まで余裕を持った申出を求めています。[1]

「どう変えてほしいか説明できないので相談できない」と止まる必要はありません。自分が読み取れない情報、移動しにくい場所、やり取りが難しくなる条件を一つずつ伝え、利用できる方法を話し合う入口を作りましょう。

大学の支援窓口とキャリア窓口をつなぐ

金沢大学では、キャリア支援室が障がい学生支援室や保健管理センターと連携しています。障がい学生支援室は、相談内容に応じ、相談者の承諾を得て関係部署と連携する案内です。学内で複数の窓口を使う一例です。[2]

自分の大学では、普段相談している窓口へ採用案内を持参し、企業への伝え方を一緒に整理できるか尋ねます。授業で使っている配慮の名称を企業にそのまま送るだけでなく、今回の選考で困る点へ言い換える作業を依頼すると具体化できます。

応募先へ送る相談文の例

応募先が専用フォームや申請期限を示している場合は、その案内を使います。診療記録などを最初のメールで一括送付するより、どの資料が必要か、誰が確認するかを窓口へ尋ね、目的に合う情報をそろえてください。

回答を受けたら、実施する内容まで確かめる

指針では、申出後に事業主と話し合い、措置を検討して内容を伝える手続きを定めています。希望どおりの一案が必ず実施されるという仕組みではなく、過重な負担も踏まえて対応を検討し、求めに応じて理由を説明する扱いです。[1]

代わりの方法を提案されたら、自分の支障がその方法で解消できそうかを伝えます。「オンラインなら可能です」とだけ回答された場合は、質問の提示方法や使用機器など、困っている部分まで具体化して確かめましょう。

当日用の確認表を別に作る

  • 実施する配慮の内容と、対象となる試験・面接。
  • 当日の担当者と、窓口へ伝えた内容の共有範囲。
  • 自分で持参・準備する物と、企業が準備する物。
  • 機器を使う場合の事前確認の方法。
  • 案内と当日の状況が違った場合の連絡先。

応募先とのやり取りは日付順に残し、最終的に決まった内容を一枚にします。オンライン面接なら、面接の開始前に連絡できる手段を確かめておくと、入室できない場合も経緯を説明できます。

必要な情報の共有範囲を確認する

相談内容は、誰に何のために伝えるかを考えて扱います。大学から企業へ連絡してもらう場合も、代わりに送ってほしい内容と、自分で話したい内容を事前に整理しましょう。複数社への一斉メールで他の応募先まで見える形にしないよう注意します。

配慮の相談と、応募書類の所定項目への回答は別の作業です。この記事だけで自分の制度上の対象性や必要書類を判断せず、事情を知る支援者と応募先の窓口で確認します。伝えることへの不安も、学内相談の議題にできます。

今日できるのは、困る場面を一行にすること

「面接が苦手」だけでは伝えにくい場合は、「音声だけの質問を受け取る場面で困る」など、自分に当てはまる場面へ絞ります。その一行と採用案内を持って相談を始めましょう。

すでに選考日が近い場合は、残り日数を正直に伝え、今から相談できる方法を尋ねます。配慮を求める文章を一人で完璧に仕上げることより、必要な相手とのやり取りを始め、参加条件を具体的にすることを目指してください。

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 厚生労働省 合理的配慮指針(平成27年告示第117号)確認日:2026-09-10 / 第2・第3の1:募集採用時の申出、支障と希望措置、具体策が難しい場合、余裕を持った申出、話合い・確定と理由説明。雇用分野の現行案内から同指針掲載を照合
  2. 金沢大学 障がいのある学生のための就職支援確認日:2026-09-10 / キャリア支援室・障がい学生支援室・保健管理センターの連携、相談者の承諾を得た連携。同大学の窓口例。求人・イベントの利用資格や日時は一般化しない
  3. 厚生労働省 雇用分野における障害者への差別禁止・合理的配慮確認日:2026-09-10 / 雇用分野における差別禁止と合理的配慮提供義務、現行掲載の指針・資料への入口。採用後の相談義務と採用時の手続きを混同しない

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