就職率100%と進学率48.2%は分母が異なる
2026年5月1日現在の大学概要資料によると、工学部の2025年度卒業者は444人、就職希望者と就職者はともに215人です。就職率100%は就職希望者215人を分母にした割合です。進学者214人、その他15人と別に掲載されています。[1]
| 項目 | 人数・割合 |
|---|---|
| 卒業者 | 444人 |
| 就職希望者 | 215人 |
| 就職者 | 215人 |
| 就職率 | 100%(就職希望者が分母) |
| 進学者 | 214人 |
| 進学率 | 48.2%(卒業者が分母) |
| その他 | 15人 |
就職率100%は、卒業者444人全員が就職したことや、大手企業に全員が採用されたことを意味しません。工学部の進路図では卒業者に対する就職の割合は48.4%、進学48.2%、その他3.4%と示されます。就職の割合と就職率を混同しないようにしましょう。[2]
学部卒で働くか、大学院で研究を深めるかを考える際は、学位そのものの印象だけでなく、目指す職種が求める知識・経験と、自分が取り組みたいテーマを照らし合わせてください。
学部卒の就職者215人は製造・建設・情報・公務などへ
2025年度の学部卒就職者215人の業種別内訳では、製造業65人、建設業36人、公務33人、情報通信業27人、学術研究・専門技術サービス業19人などが掲載されています。大学概要では公務33人を国家公務4人と地方公務29人に分けて示しています。[1] [2]
| 業種 | 人数 |
|---|---|
| 製造業 | 65人 |
| 建設業 | 36人 |
| 公務 | 33人 |
| 情報通信業 | 27人 |
| 学術研究・専門技術サービス業 | 19人 |
学部の業種別図では、就職者215人に占める製造業は30.2%です。一方、卒業者全体を基準にした図では同じ65人でも異なる割合になります。業種の数字を比較するときも、就職者か卒業者かという分母を確認しましょう。[2]
これらは業種の区分で、研究開発、設計、生産、営業などの職種の内訳ではありません。製造業に就職したことから研究職と決めつけず、応募先の募集職種、学位条件、配属方法を調べてください。
4学科の就職先は学部卒・大学院修了を分けて確認する
各学科の就職先ページは具体的な企業・組織を紹介していますが、一覧の対象年度は明記されていません。ここでは掲載例として紹介し、2025年度単年の就職先や社別採用人数とは扱いません。[3] [4] [5] [6]
機械物理系学科の一覧は、学部卒業生と大学院修了生を合わせた就職先です。トヨタ自動車、デンソー、川崎重工業、三菱電機、ダイキン工業などが掲載されています。自動車・機械・電機等の企業例を調べる入口になりますが、全社を学部卒の実績に置き換えることはできません。[3]
電気情報系学科は学部卒と大学院修了を分けています。学部卒の例にはJFEスチール、オービック、三菱電機ソフトウエア、中国電力、JR東海などがあります。大学院修了の例にはトヨタ自動車、キオクシア、村田製作所、富士通などが掲載されています。[4]
化学バイオ系学科の学部卒例にはカバヤ食品、クラシエ、山崎製パン、神戸天然物化学、日本食研グループなどがあり、大学院修了の例には出光興産、信越化学工業、東ソー、東洋紡などがあります。化学・食品等の企業でも採用職種はさまざまなため、名前だけで仕事内容を決めないようにしましょう。[5]
社会システム土木系学科の学部卒例には大成建設、清水建設、大林組、鹿島建設、中電技術コンサルタント、JR西日本、国土交通省等の国家・地方公務員が掲載されています。建設会社、コンサルタント、インフラ運営、行政など、どの立場で社会基盤に関わりたいかを考えられます。[6]
どの一覧も、企業名が載っているだけで本人の採用を保証するものではありません。大手の定義と人数がないため大手就職率も不明です。本人が応募できる募集か、希望する仕事に近いかを一社ずつ確認しましょう。
大学院の実績を学部卒へ混ぜず、進学の目的を考える
工学部の進路ページが示す2025年度の大学院全体の状況は、合計206人、就職194人、進学8人、その他4人です。就職者194人のうち製造業131人、情報通信業25人、学術研究・専門技術サービス業15人などと掲載されています。これは工学系ページで示される大学院の集計です。[2]
大学院の就職先を学部卒の実績に混ぜると、実際の進路の違いが見えにくくなります。同じ企業でも募集職種や応募条件が異なる場合があるため、本人が学部で就職する場合と、進学後に応募する場合を分けて確認してください。
進学を考える人は「就職が有利そうだから」だけで終わらず、研究したいテーマ、必要な方法、指導環境、修了後に目指す仕事を説明できるようにしましょう。就職を考える人も、希望職種に必要な経験を現在の研究や授業でどう積めるかを担当教員に相談できます。
研究・設計・実験での判断を具体的に説明する
工学系の就職活動では、専門外の相手にも研究や制作の目的が伝わる説明を用意することを勧めます。以下は編集部の提案です。技術用語や装置名を並べる前に、何を解決したいのか、何を確かめるための作業だったのかを短く説明しましょう。
| 項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 目的 | どんな課題を扱ったか |
| 方法 | なぜその計測・実験・設計方法を選んだか |
| 役割 | 本人が担当した範囲 |
| 検証 | 結果が信頼できるか、どのように確認したか |
| 改善 | 次に何を変え、確かめたいか |
機械や電気を学ぶ人は、条件や制約を踏まえて設計・検証した経験、化学を学ぶ人は実験条件や結果の解釈を考えた経験、土木を学ぶ人は安全性や地域の条件を考慮した経験などを振り返れます。これは説明の視点であり、全員が同じ研究を経験しているという意味ではありません。
結果が出なかったことも、理由を検討し次の実験や調査に結び付けた過程を説明できます。共同研究や研究室の成果は自分の担当と分け、未公開のデータ、図、技術情報を外部に出す前には指導教員に確認してください。
応募先の仕事と研究テーマが完全に一致しなくても、課題を整理し、根拠を確認して改善する経験を説明する余地はあります。反対に、テーマが近いという理由だけで実務をすでにこなせると主張せず、入社後に学びたい点を示しましょう。
学科の就職担当教員と全学の相談を組み合わせる
工学部は各学科に就職担当教員を置き、助言・指導を行っています。担当者の案内は学科の公式サイトに掲載されています。専門に合う求人や研究と選考の両立について、所属学科の窓口から確認できます。[7]
全学のキャリアサポートステーションでは、鳥大キャリアナビから就職相談を予約できます。エントリーシートなどの添削、模擬面接、就活の進め方について相談可能です。2026年4月に従来のキャリアセンターから名称が変わっています。[8] [9]
最初に気になる募集を二つ集め、職種、必要な学位、勤務地、選考日程を比較しましょう。研究や授業と重なる時期を予定表に入れ、応募書類を見てもらう時期も決めておきます。
次に、研究・設計・実験の経験を一つ、目的と本人の判断が分かる文章にまとめてください。就職率の高さだけを頼りにするのではなく、学科での学びと応募先の条件を具体的に結び付ける準備を進めましょう。
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- 鳥取大学概要2026 卒業者・修了者の進路状況確認日:2026-09-11 / 29頁工学部2025年度
- 鳥取大学工学部 学部・大学院全体の進路・就職状況確認日:2026-09-11 / 2025年度卒院別表・4図
- 鳥取大学工学部機械物理系学科 就職先・進学先確認日:2026-09-11 / 学部卒院修了混合会社、年度未明記
- 鳥取大学工学部電気情報系学科 就職先・進学先確認日:2026-09-11 / 学部卒/院修了区別、年度未明記
- 鳥取大学工学部化学バイオ系学科 就職先・進学先確認日:2026-09-11 / 学部卒/院修了区別、年度未明記
- 鳥取大学工学部社会システム土木系学科 就職先・進学先確認日:2026-09-11 / 学部卒/院修了区別、年度未明記
- 鳥取大学工学部 学科による就職指導確認日:2026-09-11 / 各学科担当教員
- 鳥取大学 キャリア・就職支援確認日:2026-09-11 / 名称変更・鳥大キャリアナビ
- 鳥取大学 就職相談確認日:2026-09-11 / 添削・面接相談