どの大学から入っているのか。分かる範囲と、分からない範囲

まず、会社の側の記載から確認します。鹿島建設の総合職 募集要項には「採用実績校」という欄があり、そこに書かれているのは「国内外の国公私立大学より採用」の一文だけです。大学名の一覧は出していません。したがって、この会社について「どの大学から採用しているか」は、会社の公表情報からは分かりません。ここを推測で埋めることはしません。[1]

次に、大学の側の資料を確認します。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を一つずつ確認しています。鹿島建設について、現時点で確認できたのは1学科です。[5]

鹿島建設を就職先として掲載している大学(大学公式資料・2026年9月9日確認)
大学・学部・学科掲載されている資料と欄対象年度
摂南大学 理工学部 建築学科就職実績「【主な就職先】」建築学科の欄に「鹿島建設(株)」一覧に対象年度の明記なし
[5]
人数まで公表している大学(大学公式資料・2026年9月9日確認)
大学・学部資料対象年度人数
工学院大学過去3ヵ年の主な就職先(一般企業/過去3ヵ年の就職者数合計が7名以上)2023〜2025年度(2026年5月1日)総計17名(6名/5名/6名)
中央大学 理工学部(大学院含む)2025年度卒業生の主な就職先(就職者2名以上の企業・機関)2025年度(2026年4月9日現在)2名
青山学院大学 理工学研究科理工学研究科就職状況【上位企業・団体】(12位)2024年度3名(男3)
[7] [8] [9]

大学側の資料が薄いときに、それを「学歴フィルターが厳しい証拠」と読み替える記事がありますが、それは事実ではありません。分かるのは、こちらが調べた範囲の大学の公表資料に載っていなかった、ということだけです。この会社については、その代わりに会社が公開している選考の条件が非常に具体的なので、そちらを使います。以下の節が、この記事の本体です。[1]

なお、大学の資料には「大興物産(鹿島建設グループ)」のように、グループ会社として社名が出てくる行もあります。この記事で扱うのは、証券コード1812の鹿島建設株式会社そのものに社名が一致する行だけです。グループ会社の実績を親会社のものとして数えていません。[6]

会社が学歴について書いていること(引用)

募集要項の応募資格は次のとおりです。「国内・海外の大学院・4年制大学・高専を2026年4月〜2027年3月に卒業・修了見込みの方、若しくは上記学校を2023年4月〜2026年3月に卒業・修了見込みの方(ただし、いずれも正社員として就業経験のない方)」。採用FAQでも「大学・大学院・高専を卒業後3年以内の方で、正社員として就業経験のない方は応募いただくことが可能です」と重ねて説明されています。[1]

大学名についての記載はありません。会社が大学名をどう扱っているかは公開されていないので、そこは「公開されていない」が正確な答えです。一方、専攻については具体的に書かれています。募集学科の欄には「文系全般、土木系、建築系、機械系、電気・電子系、情報系、経営工学系、数学系、都市工・社会工系、化学系、物理系 ほか」と並んでいます。文系全般が最初に挙がっている点は、ゼネコンを技術者だけの会社だと思っている人には意外かもしれません。[1]

ここで必ず押さえておきたいのが、職種ごとの応募方法です。11職種のうち、建築設計系と設備設計系の2つには「※建築設計系(意匠・構造)、建築設備設計系については、指定校による推薦制となっており、自由応募枠はありません」と注記があります。つまり、この2職種だけは自分の大学が推薦対象校かどうかで応募の可否が決まります。残る9職種は「公募」です。FAQには「自分の学校は推薦対象校でしょうか?」という質問もあり、答えは「各校の担当教授もしくはキャリアセンターにお尋ねください」でした。[1]

この区別は、この会社を調べるうえで最も重要な事実です。「ゼネコンは指定校推薦が中心らしい」という話を聞いて諦めた人がいるとしたら、それが当てはまるのは11職種のうち2つで、残り9職種は公募だ、というのが会社の書いていることです。[1]

選考の姿勢を示す記載もあります。FAQには採用担当のメールアドレスを明記した相談窓口が置かれていて、「万が一、社員との面談でハラスメントなどの問題があった場合は、下記問い合わせ先にご連絡ください」と書かれています。選考中に起きたことを会社へ直接伝える経路が公開されている会社は、多くありません。[1]

大学名で差がつかない土俵は、この会社では4つある

「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。鹿島建設の公開情報から特定できるのは次の4つです。

土俵1:公募の9職種は、大学の推薦枠と関係なく応募できる

募集要項の「職種と応募方法」の表には、11職種それぞれに「公募」か「指定校推薦制」かが書かれています。公募なのは、事務系、土木系、建築技術系、設備技術系、エンジニアリング系、環境系、機電系、数理(情報)系、開発系の9職種です。自分の大学に鹿島の推薦枠があるかどうかを気にする必要があるのは、建築設計系と設備設計系を志望する場合だけです。まずここを確認してください。[1]

土俵2:卒業後3年以内なら、新卒の枠でもう一度受けられる

応募資格が2023年4月〜2026年3月の卒業・修了者まで含んでいることは、在学中の就職活動がうまくいかなかった人にとって大きい事実です。分かれ目は年数ではなく「正社員として就業経験のない方」という条件のほうで、そこは自分の履歴を確認するだけで判定できます。[1]

土俵3:インターンに行けなかったことが不利にならない

FAQの「インターンシップや会社説明会の参加は必須でしょうか?」への回答は「参加は任意であり選考には関係ありません。ただし、インターンシップや説明会へ参加することで、当社での仕事内容や社員の雰囲気がより深く理解できると思います」です。選考には関係ないと言い切ったうえで、理解のためには役立つ、と書いています。参加できなかった人は、後半の目的を採用サイトの職種一覧やプロジェクト紹介で代替できます。[1] [2]

土俵4:文系でも、事務系と開発系の2職種に応募できる

採用サイトの「学校での専攻と入社後の職種」の表では、専攻ごとに応募可能な職種が印で示されています。「文系全般」の行に印が付いているのは事務系と開発系の2つです。開発系の職務内容は「不動産開発の企画、計画、推進、運営、及び不動産開発に係るコンサルティング業務」。ゼネコンの中にある不動産開発の仕事に、文系から入る道が要項上あるということです。ここは見落とされやすい入口です。[1]

11の職種と、自分の専攻で応募できるもの

募集要項の「職種と応募方法」(2027年採用)
職種職務内容(要項より)応募方法
事務系現場事務、営業、経営企画、法務、総務、人事、経理、不動産開発事業 ほか公募
土木系土木現場における施工管理業務、設計、技術提案、研究、生産性向上技術の開発 ほか公募
建築技術系建築工事における計画、見積り、調達、工務、施工管理、BIM・デジタル技術の研究開発 ほか公募
建築設計系建築設計業務全般(意匠・構造)指定校推薦制(自由応募枠なし)
建築設備技術系建物の給排水、冷暖房、照明、防災などの施工管理業務、BIM、見積・調達・コミッショニング、及び新工法開発 ほか公募
設備設計系建物の給排水、冷暖房、照明、電気、防災などの設計業務指定校推薦制(自由応募枠なし)
エンジニアリング系生産・研究・物流施設のエンジニアリング業務(計画、設計、施工、運用保守など)公募
環境系環境関連プロジェクトの計画、設計、施工、施設運営の支援、及び環境技術の開発、営業公募
機電系土木・建築現場における工事用機械・仮設備の計画・見積・調達、及びそれらの施工管理業務、新工法や新型機械の開発業務公募
数理(情報)系建設プロジェクトや企業経営におけるIT活用の戦略企画、推進、及びサービス・システムの構築と研究開発公募
開発系不動産開発の企画、計画、推進、運営、及び不動産開発に係るコンサルティング業務公募
[1]

職種名だけを見ると理系の会社に見えますが、担当業務の一覧を見ると印象が変わります。会社は職種と担当業務の対応も表で示していて、営業には事務系・土木系・開発系などが、管理部門(事務)には事務系が、現場(施工管理)や設計、技術開発・研究、数理解析、開発事業にはそれぞれ該当する職種が割り当てられています。事務系の職務内容には「現場事務、営業、経営企画、法務、総務、人事、経理、不動産開発事業 ほか」と、会社を動かす側の仕事が並んでいます。[1]

採用サイトのトップページには「多様な専攻学生が活躍できる鹿島の採用サイトへようこそ」という一文があります。募集学科の欄に文系全般から物理系まで11分野が並んでいることと合わせて読むと、専攻の幅を会社が意識的に広く取っていることが分かります。[1] [2]

応募できる条件と、公開されている待遇

2027年採用の募集要項に書かれている条件を整理します。数字が具体的に公開されているので、他社と比べるときの基準にしやすい会社です。[1]

  • 募集人数:総合職350名程度(事務系50名、技術系300名)
  • 採用実績:2025年4月は事務57名・技術289名、2026年4月は事務52名・技術295名
  • 初任給(総合職):博士了 月給35万円/修士了 月給32万円/大学・高専専攻科卒 月給30万円/高専卒 月給28万円
  • 昇給は年1回(4月)、賞与は年2回(6月・12月)
  • 勤務地は全国各地、海外。勤務時間は8:30〜17:30で一部フレックス制度あり
  • 休日休暇は国民の祝日、土曜日、日曜日、年末年始・夏季休暇、年次有給休暇のほか、結婚休暇、現場異動時休暇、産前・産後休暇、配偶者出産休暇、看護休暇、リフレッシュ休暇、記念日休暇、ボランティア休暇など
  • 福利厚生:社宅・独身寮が本社・支店所在地にあり、健康管理センター、保養所、契約リゾートホテル、契約スポーツ施設、住宅融資制度、持株会など
  • 教育制度:入社時の新入社員集合研修、入社後は階層・職種ごとの各種社内外研修、国内外留学 ほか
[1]

採用実績の数字は、他社と比べるときに効きます。2025年4月と2026年4月の実績はどちらも事務系が50名台、技術系が290名前後で、募集人数の350名程度(事務系50名、技術系300名)とほぼ一致しています。会社が出した予定人数どおりに採っている、と読めます。事務系を志望する人にとっては、枠が50名前後だと分かったうえで準備できます。[1]

留学生についてもFAQに回答があります。「国籍は問いませんので、応募いただくことが可能です」。日本の大学に留学中の人も、同じ要項で応募できます。[1]

大手ゼネコンで働くとはどういうことか。会社の記述から

職種と担当業務の表には、それぞれの仕事の勤務先も書かれています。現場(施工管理)は「施工計画・各工程の発注、工程管理、資材・機材の調達、予算・品質・安全・環境管理など」を担当し、設計は「建築設計本部、土木設計本部、支店」、技術開発・研究は「本社、技術研究所」、数理解析は「本社、支店」、開発事業は「開発事業本部、支店、開発事業所」が勤務先とされています。[1]

ここから読み取れるのは、同じ会社でも働く場所が大きく違うということです。現場に立つ仕事と、本社や研究所で働く仕事が同じ会社の中にあります。勤務地が「全国各地、海外」と書かれているのはこのためで、地域を限定したい場合は専門職にご応募ください、と会社は別の入口を案内しています。[1]

会社は採用サイトで、業界そのものを説明するページも用意しています。「変化しつづける建設業界の『今』を知る」「会社と事業を知る」「活躍する職種と社員を知る」「働く環境を知る」という構成で、プロジェクト紹介として河内川橋プロジェクト(土木)、HANEDA INNOVATION CITY(建築)、The GEAR(シンガポールの海外拠点)が挙げられています。インターンに参加しなくても、業界と会社を理解する材料はここに揃っています。[2]

資料請求についてはFAQに「当社では環境保護の観点からも、パンフレットの発送は行っておりません。職種紹介パンフレットはこちらからご覧ください」とあります。紙の資料を取り寄せる必要はなく、全員が同じウェブの情報を見る形になっています。これも、大学によって情報量の差がつきにくい作りです。[1]

なお、鹿島建設には総合職とは別に専門職の採用があります。専門職の出身校一覧は会社が公開していて、高等専門学校と高校の学校名が都道府県ごとに並んでいます(いずれも「大学・大学院などに進学した場合を除く」という注記付き)。大学生・大学院生が応募するのは総合職のほうで、こちらの出身校一覧は公開されていません。混同しないでください。[3] [4]

30日でやること。大学名では動かない部分から埋める

ここまでの内容を、行動に落とします。以下は組み立て方の例で、この通りにやれば通るという意味ではありません。

  1. 1〜3日目:応募資格に自分を当てはめる。2023年4月〜2027年3月に卒業・修了(見込み)で、正社員として働いた経験がなければ、総合職に応募できる
  2. 4〜7日目:「職種と応募方法」の表を開き、志望する職種が公募か指定校推薦制かを確認する。建築設計系と設備設計系を志望する場合だけ、大学のキャリアセンターか担当教授に推薦対象校かどうかを聞く
  3. 同じ週:「学校での専攻と入社後の職種」の表で、自分の専攻の行に印が付いている職種を書き出す。文系全般なら事務系と開発系の2つ
  4. 8〜14日目:勤務地の条件を確認する。総合職は全国各地・海外が前提で、地域を限定した働き方は総合職では選べないと会社が書いている。ここが合わない場合は、この時点で判断する
  5. 15〜21日目:採用サイトのプロジェクト紹介(河内川橋、HANEDA INNOVATION CITY、シンガポールのThe GEAR)を読み、自分が関心を持てたものを1つ選んで、なぜかを300字で書く。インターンに行っていなくても、ここまでは全員が同じ材料で書ける
  6. 22〜30日目:志望職種に合わせて経験を1件書く。事務系なら複数の関係者の予定と予算を調整した場面、開発系なら場所や街の使われ方に注目して考えた場面、技術系なら自分の専攻を建設のどの工程で使えるかを説明できる場面

志望動機も、公開されている事実から組み立てます。たとえば「募集学科に文系全般が入っていて、開発系にも応募できる」と要項を読んだうえで、自分が関心を持った街や施設の話につなげられるなら、それは自分の言葉で話せる出発点です。「スーパーゼネコンだから」では、他の誰が書いても同じ文章になります。[1]

採用の条件・日程・待遇は年度によって変わります。ここに書いた内容はすべて2026年9月9日に会社の公式サイトと摂南大学の公式サイトで確認したものです。応募の前に、必ず最新の募集要項を見てください。自分の場合にどの職種が合うか、経験をどう言葉にするかで迷ったときは、逆転就活塾の無料相談で一緒に整理することもできます。

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 鹿島建設 新卒採用情報 総合職 採用情報(募集要項・専攻と職種・FAQ)確認日:2026-09-09 / 2027年採用の応募資格・募集人数350名程度・11職種と応募方法・初任給・勤務地・休日休暇・募集学科・採用実績・採用実績校「国内外の国公私立大学より採用」、専攻と職種の対応表、FAQ(既卒3年以内、インターン参加は選考に無関係、国籍不問、地域限定は専門職、職種変更不可、相談窓口)
  2. 鹿島建設 新卒採用情報 トップ確認日:2026-09-09 / 採用サイトの構成、職種一覧、プロジェクト紹介(河内川橋、HANEDA INNOVATION CITY、The GEAR)、「多様な専攻学生が活躍できる」という説明
  3. 鹿島建設 専門職 採用情報確認日:2026-09-09 / 総合職とは別枠の専門職採用の存在
  4. 鹿島建設 専門職 出身校一覧確認日:2026-09-09 / 専門職について高等専門学校・高校の出身校一覧を都道府県別に公開(大学・大学院などに進学した場合を除く、という注記付き)
  5. 摂南大学 就職実績確認日:2026-09-09 / 理工学部建築学科の「【主な就職先】」に「鹿島建設(株)」。一覧に対象年度の明記なし
  6. 千葉商科大学 就職実績確認日:2026-09-09 / 2025年度の学部別就職実績(2026年3月卒業者)。鹿島建設本体ではなく「大興物産(鹿島建設グループ)」として掲載されている例
  7. 中央大学 2025年度卒業生の主な就職先(理工学部)確認日:2026-09-09 / 2026年4月9日現在。就職者2名以上の企業・機関の一覧に「鹿島建設」2名
  8. 青山学院大学 進路状況(学部)確認日:2026-09-09 / 2024年度。理工学研究科就職状況【上位企業・団体】の12位に「鹿島建設(株)」計3名(男3)
  9. 工学院大学 過去3ヵ年の主な就職先(一般企業)確認日:2026-09-09 / 2026年5月1日。過去3ヵ年の就職者数合計が7名以上の一般企業の一覧に「鹿島建設株式会社」2023年度6名・2024年度5名・2025年度6名(総計17名)

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