自己分析シートは、立派な実績を埋める書類ではない
空欄を見ると「何もしてこなかった」と感じる場合は、強みや将来の夢から書き始めず、一つの出来事を思い出すところから始めます。シートの目的は、自分に点数を付けることではなく、応募書類や企業選びで確かめたい材料を整理することです。
厚生労働省のマイジョブ・カードには、学生向けのキャリア・プラン作成補助シートやキャリア・プランシートが案内されています。自分の経験や価値観を整理し、相談にも活用するための公的な選択肢です。[1]
以下は、最初の一歩を小さくするために編集部が作成した記入表です。公的なジョブ・カードの様式そのものではなく、診断結果や適職を自動で判定するものでもありません。ノートや手元の文書に項目を写して使えます。
まず一つの出来事を、七つの欄に分ける
| 記入欄 | 書く内容 |
|---|---|
| ①いつ・どこで | 授業、アルバイト、家庭での役割など、思い出せる場面 |
| ②何をしていた | 自分に任されていたこと、取り組んでいたこと |
| ③困ったこと | 分からなかった点、うまくいかなかった点 |
| ④自分がしたこと | 調べた、確認した、順番を変えたなどの行動 |
| ⑤その理由 | なぜその方法を選んだか、何を大切にしたか |
| ⑥確かめた結果 | 実際に起きた変化。分からなければ空欄にする |
| ⑦次に確かめたいこと | 別の場面でも同じ行動をしたか、何を改善したいか |
一つの欄は一文でも構いません。「責任感」「協調性」などの言葉だけで埋めず、何をしたかを書きます。思い出せない欄は保留し、予定表やノートを見て確認してください。個人情報や共有してはいけない研究資料を貼り付ける必要はありません。
記入例:特別な役職がなかったアルバイト経験
| 記入欄 | 記入例 |
|---|---|
| いつ・どこで | 大学二年のアルバイト |
| 何をしていた | 交代する人へ作業の状況を伝えていた |
| 困ったこと | 口頭だけだと伝え忘れがあった |
| 自分がしたこと | 伝える項目を手元に書き、退勤前に見直した |
| その理由 | 相手が同じ確認を繰り返さずに済むようにしたかった |
| 確かめた結果 | 自分が伝え忘れた項目に退勤前に気づけた |
| 次に確かめたいこと | 授業の共同課題でも確認の仕方を工夫したか |
この段階で「私は業務効率を大幅に改善した」と広げる必要はありません。確かめられた結果は、自分の伝え忘れに気づいたことです。売上や店全体の成果に飛躍させず、自分の行動として記録します。
三つの経験を並べ、共通点と違いを探す
一つ書けたら、授業や日常の別の場面を二つ足してみます。似た行動があっても、すぐに性格を断定せず、どんな条件なら取り組みやすかったかを比べてください。
| 比べる点 | 問い |
|---|---|
| 行動 | 自分から確認する、順番を整えるなど、繰り返した行動はあるか |
| 関心 | 人の理解、正確さ、速さなど、何が気になっていたか |
| 環境 | 一人で準備できる、相談相手がいるなど、動きやすい条件は何か |
| 負担 | 急な変更、目的が不明な作業など、何に難しさを感じたか |
| 例外 | 同じ方法がうまくいかなかった場面はあるか |
「人と話すのが苦手だから営業は全部無理」と、一つの経験から職種全体を除外しないようにします。話す相手や目的、準備の時間によって感じ方が違うこともあります。職種を決める前に、具体的な仕事の場面と照らして確かめます。
自己PRとガクチカへ移すときの使い分け
シートを完成させても、そのままESに貼ると設問に合わないことがあります。自己PRでは伝えたい強みと根拠になる行動、ガクチカでは力を入れた取り組みとその過程を中心に、必要な欄を選びます。
| 使い道 | まず選ぶ材料 | 追加で確かめること |
|---|---|---|
| 自己PR | 複数の経験に見られた行動の特徴 | その強みが表れた具体的な一場面 |
| ガクチカ | 力を入れた一つの取り組み | 課題に対して考えたことと実行したこと |
| 志望動機 | 仕事や環境で大切にしたい点 | 応募先の事業・職種とつながる根拠 |
| 面接練習 | 自分の行動とその理由 | なぜその方法を選んだかを説明できるか |
強みの名前を先に決めて事実を合わせるより、書いた行動から仮の言葉を付けます。例えば「確認を重ねる」は丁寧さにつながる場合もあれば、判断に時間がかかる課題につながる場合もあります。よい面だけに言い換えず、実際の場面を説明しましょう。
企業選びでは、希望を確認できる質問に変える
「安心して働きたい」「納得できる会社に入りたい」も大切な出発点です。ただ、そのままでは企業を比較しにくいため、何が分かれば判断できるかを一つずつ質問にします。
- 教わりながら働きたい:配属後の仕事の覚え方や、相談する相手はどう決まるか。
- 人の役に立つ実感がほしい:誰のどんな困りごとに関わる仕事か。
- 得意なことを伸ばしたい:入社後どのような業務を経験するか。
- 生活との両立を考えたい:勤務地や働く時間について、求人に何が明記されているか。
これは企業への質問を作るための例で、すべての希望が満たされる求人を保証するものではありません。譲れない条件と、詳しく聞いて判断する条件を分けると、応募先を探しながら自己分析を更新できます。
空欄が多いときは、相談で一緒に言葉にする
一人で考え続けて同じ欄で止まるなら、答えを作る前に、出来事を誰かへ説明してみます。マイジョブ・カードも、記入やキャリアプランに迷ったときは学内のキャリアセンターなどへの相談を案内しています。[1]
相談では「自己分析をしてください」だけでなく、「この出来事で自分が工夫した点を整理したい」「企業選びにつながる質問を作りたい」と伝えると、扱う範囲を絞れます。全部の欄を埋めてから相談する必要はありません。
逆転就活塾への相談にも、この一枚と今の悩みを持っていけます。学歴への不安を消すために実績を作り足すのではなく、実際の経験と希望を言葉にし、次の応募や準備につなげましょう。
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- 厚生労働省 マイジョブ・カード 学生の方へ確認日:2026-09-09 / 学生用シートと学内相談の案内。本記事の記入表は編集部独自