どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる

会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。出光興産について、現時点で確認できたのは次の3大学です。3校しか確認できていないことも、そのまま書きます。[4] [5] [6]​‌​‌​​‌‌‌‌​​​‌‌​​‌​​​​‌‌‌​​​​​‌​‌‌​‌​​​‌‌‌‌‌​​‌‌​​‌​‌​‌‌​​​​‌‌‌‌

出光興産を就職先として掲載している大学(大学公式資料。確認日は出典欄に1件ずつ)
大学・学部(学科)掲載されている資料と見出し資料が示す対象年度
立命館大学 産業社会学部・文学部「学部別進路・就職状況」の進路・就職先一例に「出光興産(株)」2023年度
関東学院大学 理工学部理工学科学部・学科・コースごとの「<主な就職先>」に「出光興産(株)」過去2年間の実績より抜粋
創価大学(学部横断プログラムGLC)GLCの「進路実績」に「出光興産株式会社」資料に年度の記載なし
[4] [5] [6]

もう1つ、この表には入れていない大学があります。神戸女学院大学の資料にも出光興産の名前がありますが、2021年3月卒業生の欄でした。本コラムでは2022年度以降の掲載だけを表に入れる方針なので、外しています。金沢工業大学の都道府県別の資料にも社名がありますが、こちらは資料に対象年度の記載がありません。載っていないのではなく、年度を確かめられないから外している、ということです。[6]

会社が応募資格に書いていること(引用)

出光興産の募集要項で、まず読んでほしいのは応募資格の欄です。4行しかありませんが、1行ずつ意味があります。[1]

応募資格の全文(会社の募集要項・2027年卒)
書かれている内容
1行目2027年3月までに大学、大学院を卒業見込みの方
2行目技術系:理系の学部・学科 ※デジタル・ICT推進コースは全学部全学科(文理不問)
3行目事務系:全学部全学科(文理不問)
4行目※外国籍の方、既卒(卒業後3年以内、就業経験有無問わず)の方も対象となります。(ただし待遇は新規卒業者と同じになりますので、ご了承ください)
[1]

4行目が、この会社を他と分ける部分です。「既卒(卒業後3年以内、就業経験有無問わず)」。多くの会社は、既卒を受け入れる場合でも「就業経験がない人」に限っています。出光興産はその条件を外しています。一度就職して合わなかった人が、中途採用ではなくこの枠で受けられるということです。しかも待遇について「新規卒業者と同じになります」と先に書いてあるので、条件面で不利になる形でもありません。[1]

2行目にも見ておく点があります。技術系は「理系の学部・学科」が原則ですが、デジタル・ICT推進コースだけは「全学部全学科(文理不問)」です。募集職種の欄にも「※デジタル・ICT推進コースは、学部学科不問(文系の方も応募可)です。デジタル・ICT推進コースへのエントリーを希望される場合は、マイページ上で『希望系統:技術系』の選択をお願いいたします」と、具体的な操作まで書かれています。文系からITの職種に入る経路が、手順つきで示されています。[1]

大学名で差がつかない土俵は、この会社では5つある

「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。出光興産が公開している募集要項から特定できるのは、次の5つです。

土俵1:通年採用である

採用人数の欄は「通年採用で60名程度」の1行です。締切が春の一時期に集中する会社と違い、時期そのものが分散しています。就職活動の開始が遅れた人、留学や研究で春の選考に間に合わなかった人にとって、これは条件が緩いのではなく「戦う時期を選べる」ということです。[1]

土俵2:既卒3年以内で、就業経験の有無を問わない

上に引用したとおりです。卒業後3年以内なら、就業経験があってもこの枠で受けられます。大学名で不利を感じて一度別の道に進んだ人が、もう一度この枠に戻れる、と会社が書いているということです。[1]

土俵3:事務系は1コースだけで、専攻の条件がない

事務系の募集コースは「ゼネラル」の1つだけで、応募資格は「全学部全学科(文理不問)」です。技術系が9つのコースに分かれ、専攻ごとに「活躍可能性の高いフィールド」がマトリクスで示されているのと対照的です。事務系は入口が1つなので、どのコースを選ぶかで迷う必要がありません。[1]

土俵4:試用期間がない

募集要項の試用期間の欄は「なし(2026年3月時点)」です。入社後に試される期間を置かない、という条件です。地味に見えますが、他社の募集要項では3か月〜6か月の試用期間が書かれていることが多く、そこを設けていないのは会社の姿勢を表しています。[1]

土俵5:高専にも別の入口が用意されている

採用情報のトップには「新卒採用・インターンシップ情報(高専生等対象)」という専用のページが、大学生・大学院生向けとは別に置かれています。さらに初任給の欄には「大学卒・高等専門学校専攻科卒 319,000円」と、高専の専攻科卒が大学卒と同じ金額で並べて書かれています。学校の種類そのもので待遇を分けていない、ということです。[1] [2]

事務系1コースと、技術系9コース

出光興産の新卒採用は【総合職】として、事務系と技術系に分かれます。書類応募のときに希望系統と希望コースを選びます。会社が挙げているコースと初期配属例を並べます。[1]

募集コースと初期配属例(会社の募集要項・2027年卒)
系統コース初期配属例
事務系ゼネラル国内販売支店/出光リテール販売ファインオイルカンパニー(出向)
技術系生産技術・エンジニアリング・CNX技術開発生産技術センター/各製油所・事業所
技術系コーポレート・先進マテリアル(研究開発)イノベーションセンター次世代技術研究所/先進マテリアルカンパニー各事業部研究所
技術系知的財産(特許・商標等)イノベーションセンター知的財産部
技術系デジタル・ICT推進(全学部全学科・文理不問)デジタル・ICT推進部
技術系潤滑油(研究開発・技術営業)潤滑油事業部
技術系販売技術販売部本社で研修後、支店関係会社にて勤務
技術系石炭・環境(鉱山エンジニア・技術営業・研究職)石炭・環境事業部
技術系資源開発(石油ガス・地熱)資源部
技術系セールスエンジニア(技術営業・事業企画)電力・再生可能エネルギー事業部/機能化学品部/機能舗装材事業部/石炭・環境事業部/潤滑油事業部
[1]

事務系の初期配属例に「出光リテール販売ファインオイルカンパニー(出向)」が入っている点は、応募前に見ておいてください。入社1年目から出向で働く可能性が、会社の側から例として挙げられています。グループ会社に出るのが例外ではなく、初期配属の選択肢として書かれている、ということです。[1]

事務系の主な仕事として挙がっているのは、SS向けリテール販売・カーケア事業推進、法人営業、マーケティング、コンサルティング、新規事業開発、事業企画、需給/物流企画、調達、トレーディング、バックオフィス業務。携わる事業・分野は燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再エネ、資源、コーポレートの6つです。ガソリンスタンドの会社という印象だけで志望動機を書くと、この幅とずれます。[1]

応募の条件と、入社後の条件

会社が公開している条件(2027年卒/金額は2026年4月支給実績・その他は2026年3月時点)
項目公開されている内容
採用人数通年採用で60名程度
採用実績2026年4月入社82名/2025年4月入社73名/2024年4月入社63名
初任給(基本給)大学院修了(博士)356,000円/大学院修了(修士)337,000円/大学卒・高等専門学校専攻科卒319,000円
住居支援借り上げ社宅(家賃の80%を会社負担・上限家賃の定めあり)と住宅手当50,000円のいずれかを社員が選択
諸手当住宅手当、子ども手当、通勤手当、時間外勤務手当など
試用期間なし
昇給・賞与昇給年1回(7月)、賞与年2回(6月/12月)
勤務地本社および国内各支店、研究所、製油所・事業所、海外の事業所。出向や海外現地法人への勤務の可能性もあり
勤務時間本社・支店9:00〜17:30/研究所8:45〜17:15/製油所・事業所8:00〜16:30(いずれも休憩60分)。フレックスタイム制あり
休日・休暇完全週休2日制(土・日)、年末年始、国民の祝日、創業記念日、5月1日、年次有給休暇、産前産後休業、育児休業、介護休業ほか
提出書類履歴書・エントリーシート、適性検査等、成績証明書、研究概要(理系大学院生+技術系コースを希望する文系大学院生)、資格取得証明書
[1]

住居支援は金額まで具体的に書かれています。会社の例示をそのまま引くと、「23区内及び隣接地域で家賃120,000円の物件に居住する場合」、借り上げ社宅を選べば96,000円が会社負担で自己負担は24,000円。住宅手当を選べば50,000円が給与として支給されます。さらに「好みの条件の物件に『社宅として』居住することが可能です。その際、会社の定める一定の基準を満たした物件である必要があります。(例 エアコン完備など)」とも書かれています。地方から出て働く場合、この差は初任給の額そのものより大きく効きます。[1]

公開されている数字を、どう読むか

出光興産株式会社の会社概要
項目公開されている数値
商号出光興産株式会社
設立年月日1940年3月30日(創業1911年6月20日)
資本金1,683億円
売上高8.1兆円
本社東京都千代田区大手町
事業内容燃料油、基礎化学品、高機能材、電力・再生可能エネルギー、資源の各分野において、多様なエネルギーと素材の開発・製造・販売
企業理念「真に働く」
[3] [7]

採用実績の並びは、他社と比べて読みやすい形をしています。2024年4月63名、2025年73名、2026年82名。3年続けて増えています。そのうえで会社が出している予定は「通年採用で60名程度」。実績が予定を上回り続けている、という読み方ができます。ただし、これは会社の採用計画が今後も同じ方向で動くことを保証するものではありません。自分が受ける年の枠は、会社が発表する数字で確かめてください。[1]

この記事を読んだあと、最初にやること

大学名を変えることはできませんが、ここまでに出てきた事実のうち、いくつかは今日から動かせます。順番に書きます。

  • 自分が既卒・就業経験ありなら、応募資格の4行目を読み直す——「既卒(卒業後3年以内、就業経験有無問わず)の方も対象となります」。この条件を満たすなら、中途採用ではなくこの枠で受けられます。
  • 通年採用であることを前提に予定を組む——締切が春に集中しないので、他社の選考と並行しやすい会社です。逆に「まだ先だから」と後回しにすると、枠が埋まる可能性もあります。
  • 文系なら、事務系ゼネラルとデジタル・ICT推進の2つを比べる——事務系は「全学部全学科(文理不問)」の1コース。技術系のデジタル・ICT推進コースも「全学部全学科(文理不問)」で、こちらはマイページで「希望系統:技術系」を選ぶ操作が要ります。同じ文理不問でも入口が別です。
  • 大学の資料を見るときは「新出光」と読み分ける——「株式会社新出光」は別の会社です。自分の大学の進路資料に「出光」の文字を見つけても、それが出光興産とは限りません。
  • 住居支援を金額で比べる——借り上げ社宅なら家賃の80%を会社が負担、住宅手当なら50,000円。どちらを選ぶかは社員が決められます。地方から出る予定なら、初任給の額だけでなくここまで含めて他社と比べる。
[1]

最後に1つ。この記事の表に載っている3大学は、本コラムが調べた範囲での結果です。3校しか確認できていないのは、この会社の採用が少ないという意味ではありません(採用実績は年80名前後まで増えています)。大学側が公表する資料に、たまたままだ出てきていないだけです。会社が公開している条件——事務系は全学部全学科、既卒は就業経験を問わず3年以内、通年採用、試用期間なし——のほうを手がかりに、自分が時間を使う場所を決めてください。[1] [4] [5] [6]

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 出光興産 新卒採用 募集要項・選考フロー確認日:2026-09-10 / 2027年卒の募集コース(事務系ゼネラル/技術系9コース)、専攻×コースのマトリクス、初期配属例、主な仕事、キャリアパス(1部署3-5年)、応募資格(事務系は全学部全学科・文理不問/技術系は理系だがデジタル・ICT推進コースは全学部全学科/外国籍・既卒3年以内で就業経験有無問わず)、採用人数(通年採用で60名程度)、採用実績(2024年63名・2025年73名・2026年82名)、初任給、住居支援の金額例、試用期間なし、昇給賞与、勤務地、勤務時間、休日休暇(創業記念日・5月1日を含む)、福利厚生、教育制度、提出書類
  2. 出光興産 新卒採用・インターンシップ情報(高専生等対象)確認日:2026-09-10 / 高専生等を対象とした専用の採用ページ。5つの事業領域、仕事内容、製油所・事業所ごとの社員紹介、募集要項、選考ステップ
  3. 出光興産 企業概要(採用サイト)確認日:2026-09-10 / 商号、本社所在地、設立年月日1940年3月30日(創業1911年6月20日)、資本金1,683億円、決算期、企業理念「真に働く」
  4. 立命館大学 学部別進路・就職状況(2023年度)確認日:2026-09-09 / 産業社会学部・文学部の「進路・就職先一例」に出光興産(株)
  5. 関東学院大学 卒業生の主な進路・就職先確認日:2026-09-09 / 理工学部理工学科の「<主な就職先>」に出光興産(株)。過去2年間の実績より抜粋
  6. 創価大学 GLOBAL LEADER COLLEGE確認日:2026-09-09 / 学部横断プログラムGLCの「進路実績」に出光興産株式会社。資料に年度の記載はない
  7. 出光興産 会社概要(企業サイト)確認日:2026-09-10 / 本社所在地、代表取締役社長、設立年月日、資本金1,683億円、売上高8.1兆円、事業内容(燃料油・基礎化学品・高機能材・電力再生可能エネルギー・資源)

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