どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる
会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。デンカについて、現時点で確認できたのは次の6大学です。[6] [7] [8] [9] [10] [11]
| 大学・学部(学科・専攻) | 掲載されている資料と見出し | 資料が示す対象年度 |
|---|---|---|
| 大阪大学 理学部 化学科 | 「理学部卒業生の進路状況」(令和5年度〜令和7年度)の4学科(数学科/物理学科/化学科/生物科学科)のうち化学科の「学部卒業生の主な就職先」に「デンカ」 | 令和5年度〜令和7年度(2023〜2025年度) |
| 工学院大学 先進工学部 環境化学科 | 「過去3ヵ年の主な就職先(学科・専攻別)」の■先進工学部(生命化学科/応用化学科/環境化学科)の右端=環境化学科の列に「デンカ(株)」 | 過去3ヵ年(2026年5月1日時点) |
| 新潟産業大学 経済学部 経済経営学科 | 「就職データ」の「令和7年3月卒業生の主な就職先」(業種別・企業名五十音順)の製造業の欄に「デンカ(株)」 | 令和7年3月卒業生(2024年度卒業生) |
| 日本大学 理工学部 物質応用化学科/専攻 | 「各学科/専攻の主な進路・就職業界」の物質応用化学科/専攻「主な就職実績」に「デンカ」 | 2023〜2025年度(過去3年間の学部卒業生と大学院修了生) |
| 専修大学(全学の一覧) | 「主な就職先(2026年3月卒業生/2026年3月31日時点判明分)」に「デンカ」 | 2026年3月卒業生 |
| 筑波大学 大学院 数理物質科学研究群(化学) | 「主な教育組織とその就職先企業名等」の化学の欄に「デンカ」 | 令和4(2022)年度(学部ではなく大学院) |
採用担当からのメッセージのページには、求める人物像の説明があります。「当社ではさまざまな専門分野を持つ学生のみならず、性別や国籍を問わない幅広い人財を積極的に採用しています。」続けて学生への言葉として「学生の皆さんには、「学生だからこそできること」に一生懸命取り組んでいただきたいと思います。」とあります。[4]
この6校で目を引くのは、新潟産業大学の経済学部です。デンカは新潟県に工場を持っていて、募集要項の地区区分にも「地区C:青海・大牟田・渋川・伊勢崎・五泉」と、新潟県の青海と五泉の名前が出てきます。工場のある土地の大学の、経済学部から入っている例が大学の公式資料に残っている、ということです。会社の募集学科も事務系は「学部学科不問」の1行だけです。[1] [8]
会社が学歴・専攻について書いていること(引用)
デンカの採用データのページには募集学科の欄があります。事務系は「学部学科不問」の1行。技術系は「化学、材料、化学工学、電気、電子、機械、土木、物理、薬学、生物、医工、情報工学他」と、専攻名が並んだうえで末尾に「他」が付いています。[1]
学位で採用基準を変えないと書いてある
採用FAQの「学士、修士、博士による採用基準の違いはありますか。」への答えは1文です。「学士、修士、博士共に採用基準に違いはありません。」[2]
理系から事務系へ応募できる
FAQの「理系学生でも文系職種に応募することはできますか。」への答えはこうです。「可能です。実際に、理系出身で営業や管理系の仕事をしている社員が多数在籍しています。」[2]
事務系志望者に化学の知識を求めていない
この記事でいちばん重い引用がここです。FAQの「事務系職種で入社前の段階で化学の知識はどの程度必要ですか。」への答えはこうです。「入社時点では全く必要ありませんので、ご安心ください。業務に必要な知識は入社後に学んでいただけますので、選考の中で化学に関する知識を問うこともありません。もちろん化学を専攻している、化学に興味があるといった方の応募も歓迎です。」[2]
技術系についても、化学系でなくてよいと書かれています。「技術系の仕事で、化学(化学工学)系学科出身者でなくても活躍するフィールドはありますか?」への答えは「当社では、化学だけにとらわれない幅広い事業を手掛けており、それらの事業において必要とされる専門性は、化学・化学工学系のみならず、薬学系、バイオ系、機械系、電気系、土木系、建築系、情報工学系など多岐にわたります。」です。[2]
既卒は卒業1年未満まで
FAQの「既卒でも選考に参加することはできますか?」への答えは「はい。卒業1年未満で就業経験の無い方であれば新卒扱いとし、ご応募を受け付けております。」です。1年という線が引かれているので、そこは正確に読んでください。国籍については「関係ありません。ここ数年の留学生採用実績は採用数全体で10~20%程度で、留学生の方も積極的に採用を行っております。」と書かれています。[2]
大学名を選考でどう扱っているかは公開されていないので、そこは「分からない」が正確です。[2]
大学名で差がつかない土俵は、この会社では4つある
「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。デンカが公開している採用データとFAQから特定できるのは、次の4つです。
土俵1:入社前の勉強を求めていない
FAQの「入社前までに勉強すべきことを教えてください。」への答えは2文です。「特にありません。」そして「ぜひ学生時代にしかできないことに一生懸命取り組んでください。」化学の知識も、資格も、入口では求められていません。[2]
土俵2:英語のスコアに下限がない
FAQの「英語力はどの程度求められますか?」への答えの1文目はこうです。「選考段階で必須の点数などはございません。」続けて「ただ、ビジネスの世界で英語は必要不可欠であり、配属部署や担当業務にもよりますが、将来的に社内外における英語使用頻度は増えていく見込みです。」とあります。入口では問われないが、入ってからは使う、という書き方です。[2]
土俵3:選考の中身が、提出物と検査と面談に寄っている
FAQの「採用試験の内容を教えてください。」への答えはこうです。「エントリーシート、適性検査、面談(複数回)によって決定します。一次・二次面談はWEB、最終面談は対面を予定しています。」一次と二次がWEBなので、地方の大学から受けるときの移動の負担が小さい作りです。[2]
土俵4:職種を細かく絞らずに応募できる
FAQの「職種別採用は行っていますか?」への答えはこうです。「総合職では「研究職」「製造・エンジニアリング職」「事務職」の3つの窓口で採用を行っていますが、原則として事業所別や、より詳細な職種別での採用は実施しておりません。」3つの窓口のどれかを選ぶだけで、そこから先は入社後の配属面談で決まります。[2]
募集職種と、この会社が何をつくっているか
| 区分 | 職種 |
|---|---|
| 事務系 | 営業(国内営業・海外営業・MR/DMR)、経営企画、人事、経理、資材、デジタル・情報システム |
| 技術系 | 研究開発(基礎研究・応用研究)、分析・解析、データサイエンス・計算科学、製造・生産技術(プロセス開発・工程管理・品質改善等)、エンジニアリング(設計・電気計装・土木建築・保全等) |
事務系の営業のところにMR/DMRが入っていることに注目してください。デンカは化学メーカーですが、医薬品も扱っています。会社概要の主な事業内容にはこうあります。「主な事業内容 ・電子・先端プロダクツ(アセチレンブラック、機能性セラミックス・フィルム・テープ、放熱材料・基板、接着剤 など)・ライフイノベーション(インフルエンザワクチン、各種ウイルス抗原迅速診断キット など)・エラストマー・インフラソリューション(機能性エラストマー、特殊混和材、農業・土木向けコルゲート管、肥料、高断熱アルミナ繊維 など)・ポリマーソリューション(スチレン系機能樹脂、アセチル系化成品、ウィッグ用合成繊維、食品包装材料 など)」[5]
4つの事業部門の中身がこれだけ違うので、FAQが「化学だけにとらわれない幅広い事業」と書いているのは誇張ではありません。ワクチンと診断キット、セメント用の混和材、ウィッグ用の合成繊維が同じ会社の中にあります。[2] [5]
配属の決め方も公開されています。FAQの「入社後の配属職種はどのように決定するのですか?」への答えはこうです。「例年入社の数カ月前に配属面談を行い、皆さんの希望職種や勤務地、入社後のキャリアについての要望を伺います。」続けて「その後、皆さんの要望と適性を総合的に判断し配属先を決定します。事務系は新入社員研修後すぐに正式配属となり、技術系は新入社員研修後まず仮配属先での研修(事業所により期間は異なる)を経て、適性を見極めた上で正式配属先を決定します。」[2]
応募の条件と、入社後の条件
| 項目 | 会社の記載 |
|---|---|
| 募集学科 | 事務系=学部学科不問/技術系=化学、材料、化学工学、電気、電子、機械、土木、物理、薬学、生物、医工、情報工学他 |
| 初任給(2025年実績・地区A) | 博士卒327,322円/修士卒273,547円/学部卒256,570円/高専専攻科卒246,122円/高専本科卒238,480円 |
| 地区区分 | 地区A=埼玉・千葉・東京・名古屋・大阪/地区B=福岡・札幌・仙台・広島/地区C=青海・大牟田・渋川・伊勢崎・五泉 |
| 昇給・賞与 | 昇給は年1回(4月)。賞与は年2回(7月、12月)。2025年度組合員平均4.30ヶ月 |
| 勤務地 | 本社(東京 日本橋)、支店8か所、研究所(東京 町田)、工場(新潟、群馬、千葉、福岡)、海外10か国・地域 |
| 勤務時間 | 8:30〜17:20(休憩12:00〜13:00) |
| 休日休暇 | 完全週休2日制(土・日)、祝日、年末年始、GW、慶弔、年次有給ほか。年間休日124日(2025年度実績) |
| 研修制度 | 階層別研修、自己啓発支援制度、通信教育制度、語学研修制度、専門教育制度、トレーナー制度ほか |
| 受動喫煙対策 | 喫煙専用室設置あり(休憩時間を除く就業時間内全面禁煙)。2026年4月より場内喫煙所は原則廃止 |
初任給の表に高専専攻科卒と高専本科卒の欄があります。地区区分があるので、同じ学歴でも勤務地によって支給総額が変わる仕組みです。[1]
研究職には、入社後に博士号を取る道も用意されています。FAQの「社会人ドクター制度はありますか?」への答えはこうです。「はい、あります(技術系研究職のみ)。博士課程修了に必要な各種費用を会社で負担し、社会人ドクター取得を支援する制度です。」海外留学制度についても「はい、あります(技術系研究職のみ)。海外大学への留学及び海外研究機関への派遣を通して、世界で通用する最新技術・知識の習得やキャリアアップ等を支援する制度です。」とあり、どちらも「社内での審査がありますが、公募制となっておりますのでぜひチャレンジしてください。」と書かれています。[2]
子育てとの両立については、福利厚生のページに認定の実績が書かれています。健康経営優良法人の「ホワイト500」に認定され、子育てサポート企業の「くるみん」は2021年に初めて取得し2024年に2回目の認定を受けています。在宅勤務は週2回を上限に使えます。[3]
会社が公開している数字
| 区分 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 2027年 |
|---|---|---|---|---|
| 事務系 | 16 | 8 | 9 | 40名程度(予定・事務系と技術系の合計) |
| 技術系 | 60 | 26 | 27 | — |
| (内、女性人数) | 23 | 12 | 9 | — |
| (内、離職者数) | 0 | 0 | 0 | — |
目を引くのは「(内、離職者数)」の行です。2024年・2025年・2026年とも0。会社が自分でこの行を表に置いて、3年とも0だと公開しています。人数の規模は年によって大きく動いていて、2024年は事務系16名・技術系60名の合計76名、2025年は8名と26名の合計34名でした。2027年度の予定はFAQに「技術系約30名、事務系約10名を予定しています。」と書かれています。応募者数は公開されていないので倍率は計算できません。[1] [2]
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均勤続年数 | 16.0年(2025年3月31日現在) |
| 平均年齢 | 40.6歳(2025年3月31日現在) |
| 年間休日 | 124日(2025年度実績) |
| 平均有休取得 | 15.4日(2024年度実績) |
| 月平均残業時間 | 12.3時間(2024年度実績) |
月平均残業12.3時間、有休15.4日、年間休日124日。取りきれなかった有給休暇については、翌年に繰り越す制度や積み立てをする制度があると注記されています。[1]
| 項目 | 記載 |
|---|---|
| 設立 | 1915年(大正4年)5月1日 |
| 資本金 | 36,998百万円 |
| 従業員数 | 連結6,454人/単体4,234人 |
| 上場 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード4061) |
| 本社 | 東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号(日本橋三井タワー) |
明日からできること
- 採用データのページを自分で開いて、募集学科の欄の「事務系 / 学部学科不問」を確かめる。就活サイトの要約ではなく、会社のページで確かめること
- 文系で化学メーカーを避けているなら、FAQの「事務系職種で入社前の段階で化学の知識はどの程度必要ですか。」の答えを先に読む。「入社時点では全く必要ありませんので、ご安心ください。」と書いてある
- 理系で事務系を志望するなら、FAQの「可能です。実際に、理系出身で営業や管理系の仕事をしている社員が多数在籍しています。」が根拠になる
- 一次・二次面談がWEBなので、遠方の大学からでも移動の負担が小さい。日程を早めに押さえる
- 応募の窓口は「研究職」「製造・エンジニアリング職」「事務職」の3つだけ。細かい職種まで絞り込まなくても出せる
- 卒業して1年未満で就業経験がなければ新卒扱いで応募できる。1年という線があるので、自分がどちらかを先に確かめる
この記事に書いたのは、会社が自分で公開している文書と、大学が自分で公開している進路資料だけです。どちらも今日この時点で誰でも開けます。出典はすべて下に並べてあるので、気になったところは自分で開いて確かめてください。
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- デンカ 新卒採用情報 採用データ確認日:2026-09-11 / 募集職種(事務系・技術系)、募集学科「事務系 / 学部学科不問」「技術系 / 化学、材料、化学工学、電気、電子、機械、土木、物理、薬学、生物、医工、情報工学他」、初任給(2025年実績・地区手当別支給総額)、地区区分、諸手当、昇給・賞与、勤務地、勤務時間、採用実績(2024〜2027年。内、女性人数と内、離職者数の行を含む)、平均勤続年数16.0年、平均年齢40.6歳、福利厚生、休日休暇(年間休日124日)、平均有休15.4日、月平均残業時間12.3時間、研修制度、受動喫煙対策
- デンカ 新卒採用情報 よくあるご質問確認日:2026-09-11 / 2027年度の採用予定人数、「総合職では「研究職」「製造・エンジニアリング職」「事務職」の3つの窓口で採用を行っていますが、原則として事業所別や、より詳細な職種別での採用は実施しておりません。」、「学士、修士、博士共に採用基準に違いはありません。」、「可能です。実際に、理系出身で営業や管理系の仕事をしている社員が多数在籍しています。」、技術系で化学系学科出身でなくても活躍できる旨、「エントリーシート、適性検査、面談(複数回)によって決定します。一次・二次面談はWEB、最終面談は対面を予定しています。」、「入社時点では全く必要ありませんので、ご安心ください。業務に必要な知識は入社後に学んでいただけますので、選考の中で化学に関する知識を問うこともありません。もちろん化学を専攻している、化学に興味があるといった方の応募も歓迎です。」、「はい。卒業1年未満で就業経験の無い方であれば新卒扱いとし、ご応募を受け付けております。」、国籍と留学生採用実績、OB/OG訪問、配属の決め方、転勤・異動、英語力、「特にありません。」(入社前の勉強)、社会人ドクター制度と海外留学制度
- デンカ 新卒採用情報 福利厚生・ワークライフバランス確認日:2026-09-11 / 健康経営優良法人「ホワイト500」認定、「くるみん」認定(2021年初取得・2024年に2回目)、在宅勤務制度(週2回を上限)ほか
- デンカ 新卒採用情報 採用担当からのメッセージ確認日:2026-09-11 / 採用担当から学生へのメッセージ
- デンカ 会社概要確認日:2026-09-11 / 設立1915年5月1日、資本金36,998百万円、従業員数 連結6,454人・単体4,234人、上場市場、本社所在地、主な事業内容(電子・先端プロダクツ/ライフイノベーション/エラストマー・インフラソリューション/ポリマーソリューションの4部門)
- 大阪大学理学部 卒業後の進路確認日:2026-09-11 / 「理学部卒業生の進路状況」(令和5年度〜令和7年度)の4学科(数学科/物理学科/化学科/生物科学科)のうち化学科の「学部卒業生の主な就職先」にデンカ
- 工学院大学 過去3ヵ年の主な就職先(学科・専攻別)確認日:2026-09-10 / 2026年5月1日付。■先進工学部(生命化学科/応用化学科/環境化学科)の右端=環境化学科の列にデンカ(株)
- 新潟産業大学 就職データ確認日:2026-09-10 / 「令和7年3月卒業生の主な就職先」の製造業の欄にデンカ(株)。同じページに令和8年・令和7年・令和6年3月卒業生の3年分が別々に並ぶ
- 日本大学理工学部 就職支援情報確認日:2026-09-11 / 「各学科/専攻の主な進路・就職業界(2025年度卒・修了)」の物質応用化学科/専攻の主な就職実績にデンカ。ページ末尾に「各学科の主な就職実績一覧は, 過去3年間の学部卒業生と大学院修了生を合わせたものの一例です」と注記
- 専修大学 26卒 学科別業種別就職状況確認日:2026-09-11 / 「主な就職先(2026年3月卒業生/2026年3月31日時点判明分)」にデンカ。全学1枚の資料で、学部ごとの内訳はない
- 筑波大学 令和4年度 進路状況(追加資料)確認日:2026-09-11 / 「主な教育組織とその就職先企業名等」の数理物質科学研究群・化学の欄にデンカ。大学院修士課程・博士前期課程の修了生
- 金沢工業大学 就職実績確認日:2026-09-10 / 都道府県別に社名と数字を並べた資料にデンカ。この数字はその年の採用人数ではなく在籍者数の累計にあたるもので、対象年度も書かれていない(この記事の表に入れていない理由の出典)