どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる
会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。ブリヂストンについて確認できたのは次の3大学です。立命館大学だけは年度の違う2つの資料に社名があるので、行を分けています。[4] [5] [6] [7]
| 大学・学部(学科) | 掲載されている資料と見出し | 資料が示す対象年度 |
|---|---|---|
| 立命館大学 法学部 | 「2024年度 学部別進路・就職状況」の法学部「進路・就職先一例」に「(株)ブリヂストン」 | 2024年度 |
| 立命館大学 文学部 | 「2023年度 学部別進路・就職状況」の文学部「進路・就職先一例」に「(株)ブリヂストン」 | 2023年度 |
| 中央大学 理工学部(大学院含む) | 「2025年度卒業生の主な就職先(就職者2名以上の企業・機関)」の61位に「ブリヂストン 2」 | 2025年度卒業生(2026年4月9日現在) |
| 千葉工業大学 創造工学部デザイン科学科 | 学科別の「主な進路先」に「㈱ブリヂストン」 | 一覧に年度の記載なし(見出しは「就職実績(過去3年)」・2026年9月取得) |
注目してほしいのは立命館大学の2行です。法学部と文学部。タイヤの会社に、法学部と文学部から入っています。しかも別々の年度の資料に、それぞれ載っています。「理系じゃないから」でこの会社を候補から外していたなら、その前提は大学の公式資料の側から崩れています。この記事の残りは、なぜそうなるのかを会社の募集要項で説明していきます。[4] [5]
会社が学歴・専攻について書いていること(引用)
ブリヂストンの新卒募集要項は、事務系と技術系で募集学科が分かれています。事務系の募集学科の欄は「全学部全学科」の1行です。技術系は「機械、物理、化学、金属、材料、電気、電子、制御、情報、経営工学など」。つまり専攻の条件が付くのは技術系だけで、事務系には一切ありません。[1]
応募資格は事務系・技術系とも同じ文面です。「2027年3月に大学学部・修士・博士課程、高等専門学校を卒業 (修了) 見込みの方 およびそれ以前に卒業し、新規卒業予定者と同等の枠組みでの採用を希望される方(既卒の方におかれましては、正社員での就業実績のない方に限ります)」。高等専門学校が大学・大学院と並べて書かれ、既卒についても条件つきで応募できると明記されています。[1]
もう1つ、会社が公開しているもので学歴と直結するものがあります。「過去採用データ」の欄です。ここには年ごとの採用人数が、事務系・技術系の別だけでなく、学士・修士・博士・高専の内訳まで書かれています。この形で公開している会社は多くありません。数字は次の節の表にまとめますが、事務系は4年のうち2年が全員学士で、残る2年も学士が大半です。「募集学科は全学部全学科」という1行が、実際の採用結果としても学部卒中心になっていることを、会社自身の数字が示しています。[1]
大学名で差がつかない土俵は、この会社では5つある
「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。ブリヂストンが公開している募集要項と職種紹介から特定できるのは、次の5つです。
土俵1:事務系の募集学科が「全学部全学科」
事務系には専攻の条件がありません。立命館大学の法学部と文学部から入っている人がいることと、この1行は矛盾しません。文系から素材メーカーへ、という進路が制度として開いています。[1] [4] [5]
土俵2:事務系は学部卒が中心だと、会社の数字が示している
過去採用データによれば、事務系は2024年4月が20名で全員学士、2025年4月が21名で全員学士、2026年4月が20名で学士17名・修士3名です。大学院に行っていないことが不利にならない列が、はっきり存在します。逆に技術系は2026年4月の51名のうち学士3名・修士48名で、学部卒で技術系を狙うのはかなり狭い道です。自分がどちらに並ぶかを決めるとき、この数字は感覚より確かです。[1]
土俵3:高専が応募資格に明記され、実際に採用されている
応募資格に高等専門学校が書かれているだけでなく、2023年4月の技術系42名の内訳に「高専1名」が入っています。書いてあるだけでなく、実績としても1名が採られている、ということです。高専からの応募が想定外ではないことが、数字で確認できます。[1]
土俵4:事務系は職種別採用とポテンシャル採用の2本立て
事務系の募集職種は、職種別採用としてSales&Marketing(直需タイヤ/リプレイスタイヤ/鉱山・建設車両用・航空機用タイヤ)、SCM、調達、財務、広報・宣伝、HR(人事・労務)。これに加えて、ポテンシャル採用として「総合職」があります。やりたい職種が決まっている人は職種別で、決まっていない人はポテンシャル採用で、と入口が分かれています。志望動機が固まっていないから応募できない、という状態を、会社が制度で吸収しています。[1]
土俵5:職種一覧に「事務」「技術」「事務技術」の印がついている
職種と仕事のページでは、24個の職種それぞれに「技術」「事務」「事務技術」のいずれかの印が付いています。SCM(国内・グローバル)と知的財産は「事務技術」、つまり両方から入れる職種です。自分の専攻がどちらとも言い切れない人にとって、この印は具体的な手がかりになります。会社は「みなさんのやりたいことを実現し、キャリアを築けるよう職種別採用を実施しています」と書いています。[2]
募集職種。事務系と技術系で条件が違う
| 区分 | 募集職種 | 募集学科 |
|---|---|---|
| 事務系(職種別採用) | Sales&Marketing(直需タイヤ/リプレイスタイヤ/鉱山・建設車両用・航空機用タイヤ)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)、調達、財務、広報・宣伝、HR(人事・労務) | 全学部全学科 |
| 事務系(ポテンシャル採用) | 総合職 | 全学部全学科 |
| 技術系(職種別採用) | 研究開発職(材料系・構造系)、モノづくり職(製造技術・設備開発・IE・品質保証・安全・防災・環境・SCM)、フィールドエンジニア職(海外技術サービス)、デジタル(コーポレートIT・生産系IT・ソリューションIT)、データサイエンティスト | 機械、物理、化学、金属、材料、電気、電子、制御、情報、経営工学など(※一部職種応募条件有) |
この表で最初に見てほしいのは、事務系の2行が同じ「全学部全学科」でありながら、入口が2つに分かれていることです。職種別採用は、その職種で働きたいと決めている人向け。ポテンシャル採用の「総合職」は、それが決まっていない人向けです。就活を始めたばかりで職種の違いが分からない段階でも、応募できる入口が用意されています。[1]
仕事の内容の欄には、事務系として「事業企画、商品企画、営業、経営企画、調達、SCM、物流、経理・財務、IR、総務、法務、人事・労務、広報・宣伝など」、技術系として「研究開発、製造技術、生産設備開発、品質保証、安全・防災、IE、SCM、フィールドエンジニア、IT、データサイエンス、知的財産など」が並びます。タイヤをつくる会社ですが、事務系の職種は他業界の総合職と大きく変わりません。業界の知識がないことを理由に降りる必要はない、ということです。[1] [2]
応募の条件と、入社後の条件
| 項目 | 公開されている内容 |
|---|---|
| 応募資格 | 2027年3月に大学学部・修士・博士課程、高等専門学校を卒業(修了)見込みの方、およびそれ以前に卒業し新規卒業予定者と同等の枠組みでの採用を希望される方(既卒は正社員での就業実績のない方に限る) |
| 募集学科(事務系) | 全学部全学科 |
| 募集学科(技術系) | 機械、物理、化学、金属、材料、電気、電子、制御、情報、経営工学など |
| 提出書類(事務系) | 履歴書、成績証明書、卒業見込証明書 |
| 提出書類(技術系) | 履歴書、成績証明書、推薦書、卒業(修了)見込証明書、卒論(修論)の要旨(レポート用紙1〜2枚程度) |
| 選考方法 | 面接、適性検査、書類審査(技術系は自由応募の場合。推薦応募はフローが異なる) |
| 給与 | 学部卒310,000円/修士卒345,000円/博士卒385,600円(いずれも諸手当含まず) |
| 諸手当 | 所定時間外手当、住宅給、通勤費など |
| 昇給・賞与 | 昇給 年1回(4月)、賞与 年2回(6月、12月) |
| 勤務時間 | 本社9:00〜17:30/小平技術センター8:30〜17:00/横浜技術センター・工場8:15〜16:45。標準労働時間7.5時間、フレックスタイム制度あり(コアタイムなし) |
| 休日休暇 | 年間休日120日、週休2日制(土・日・祝。勤務地区により一部異なる)、ゴールデンウィーク・夏季・年末年始休日、慶弔休暇、有給休暇(入社日より規定日数を付与) |
| 勤務地 | 本社および各事業所 |
提出書類の欄を見比べてください。事務系は3点、技術系は5点で、技術系にだけ推薦書と卒論・修論の要旨が要ります。推薦書は大学や研究室から出してもらうものです。学部の研究室に所属していない段階の人や、指導教員との関係が薄い人にとっては、技術系のほうが準備の負担が大きい、ということでもあります。事務系は履歴書と証明書2通で応募できます。[1]
公開されている数字を、どう読むか
この会社で就活の判断に一番効くのは、学位の内訳まで書かれた過去採用データです。そのまま表にします。
| 入社年月 | 事務系 | 技術系 |
|---|---|---|
| 2023年4月 | 13名(学士12名、修士1名) | 42名(学士3名、修士34名、博士4名、高専1名) |
| 2024年4月 | 20名(学士20名) | 50名(学士4名、修士41名、博士5名) |
| 2025年4月 | 21名(学士21名) | 49名(学士3名、修士44名、博士2名) |
| 2026年4月 | 20名(学士17名、修士3名) | 51名(学士3名、修士48名) |
4年分を縦に読むと、2つのことが分かります。1つ目は、事務系は学部卒が中心だということ。74名のうち70名が学士です。2つ目は、技術系は修士が中心だということ。192名のうち167名が修士で、学士は13名しかいません。同じ会社の同じ年の採用でも、事務系と技術系はまったく別の競技場です。[1]
学部卒で技術系を狙う場合、その年の枠は3〜4名です。可能性がないわけではありません。実際に毎年3名以上採られています。ただし、それが何を意味するかは正確に見ておくべきです。一方で事務系は、大学院に行っていないことがまったく不利になりません。専攻の条件もありません。文系学部から素材メーカーに入りたいなら、ここが本命です。[1]
この記事を読んだあと、最初にやること
大学名を変えることはできませんが、ここまでに出てきた事実のうち、いくつかは今日から動かせます。順番に書きます。
- 事務系か技術系かを、数字を見て決める。事務系は年20名前後でほぼ全員が学部卒。技術系は年50名前後で、その大半が修士です。学部卒で技術系の枠は年3〜4名。自分がどちらに並ぶのかを、感覚ではなくこの数字で決める。
- 事務系なら、職種別採用とポテンシャル採用のどちらで出すか決める。やりたい職種が決まっているなら職種別(Sales&Marketing、SCM、調達、財務、広報・宣伝、HR)。決まっていないならポテンシャル採用の総合職。決まっていないこと自体は、応募できない理由になりません。
- 技術系志望なら、推薦書が要ることを今日確認する。技術系の提出書類には推薦書と卒論・修論の要旨が入っています。推薦応募は選考フローも違います。指導教員に相談する時期を、選考が始まる前に逆算しておく。
- 高専生は、応募資格と実績の両方を見る。応募資格に高等専門学校が明記されていて、2023年4月の技術系には高専1名の採用実績があります。書かれているだけでなく、実際に採られています。
- マイページに登録する。選考の日程と募集要項の詳細は、マイページに登録した人にしか公開されないと会社が明記しています。まず登録して、情報が届く状態にする。
最後に1つ。この記事の表に載っている3大学は、本コラムが調べた範囲での結果です。載っていないから入れない、という意味ではありません。逆に、載っているから入りやすい、という意味でもありません。会社が公開している条件(事務系は全学部全学科、高専も対象、既卒も条件つきで可)と、会社自身が出している学位別の採用データ、そして大学の資料に残っている事実。この3つを手がかりに、自分が時間を使う場所を決めてください。[1] [4] [5] [6] [7]
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- ブリヂストン 【新卒】募集要項・選考フロー確認日:2026-09-10 / 事務系・技術系それぞれの募集職種、応募資格(大学学部・修士・博士課程・高等専門学校の卒業見込み、既卒は正社員での就業実績のない方に限る)、募集学科(事務系は「全学部全学科」、技術系は「機械、物理、化学、金属、材料、電気、電子、制御、情報、経営工学など」)、提出書類(技術系のみ推薦書と卒論の要旨)、選考方法、給与(学部卒310,000円・修士卒345,000円・博士卒385,600円)、諸手当、昇給賞与、勤務時間、休日休暇(年間休日120日)、勤務地、過去採用データ(2023年4月〜2026年4月の事務系・技術系別、学士・修士・博士・高専の内訳)、マイページ登録が前提である旨
- ブリヂストン 職種と仕事確認日:2026-09-10 / 24職種の一覧と、それぞれに付いた「技術」「事務」「事務技術」の印。研究開発・モノづくり・営業企画・基盤を支える の4区分、「みなさんのやりたいことを実現し、キャリアを築けるよう職種別採用を実施しています」
- ブリヂストン サステナブルなソリューションカンパニーに向けて確認日:2026-09-10 / 事業の柱(タイヤ開発のENLITENとBCMA、天然ゴムの自社農園とサステナブル調達、リトレッドを含むソリューションビジネス、リサイクルのEVERTIRE INITIATIVE、月面探査車用タイヤの研究開発)
- 立命館大学 学部別進路・就職状況(2024年度)確認日:2026-09-10 / 各ページの見出しは「2024年度 学部別進路・就職状況」。法学部の「進路・就職先一例」に「(株)ブリヂストン」
- 立命館大学 学部別進路・就職状況(2023年度)確認日:2026-09-09 / 各ページの見出しは「2023年度 学部別進路・就職状況」。文学部の「進路・就職先一例」に「(株)ブリヂストン」
- 中央大学 2025年度卒業生の主な就職先(就職者2名以上の企業・機関)確認日:2026-09-09 / 2026年4月9日現在。理工学部(大学院含む)の欄の61位に「ブリヂストン 2」。就職者2名以上の企業・機関だけを集めた一覧なので、1名だった企業や他学部の実績は載らない
- 千葉工業大学 主な進路先確認日:2026-09-09 / 学科別の「主な進路先」。創造工学部デザイン科学科の欄に「㈱ブリヂストン」。ページに対象年度の記載はなく、たどり着くまでの見出しは「就職実績(過去3年)」