どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる

会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。アステラス製薬について、現時点で確認できたのは次の4大学です。[8] [9] [10] [11]‌​‌​‌​​​​​​​​‌‌​‌‌‌​​​‌‌​​‌​​‌‌‌‌‌​​​‌​​‌​‌‌​​‌‌​​​‌​​‌​‌‌​‌​‌‌‌

アステラス製薬を就職先として掲載している大学(大学公式資料。確認日は出典欄に1件ずつ)
大学・学部(学科)掲載されている資料と見出し資料が示す対象年度
千葉工業大学 先進工学部生命科学科「就職実績(過去3年)」の中の「主な進路先」、先進工学部・生命科学科の欄に「アステラス製薬㈱」過去3年(一覧そのものには年の記載なし)
西南学院大学 商学部商学科「学部別の主な内定先」の商学科の欄に「アステラス製薬」2026年3月(前年9月含む)卒業者実績
岩手大学 大学院総合科学研究科「令和4(2022)年度 総合科学研究科修了生 進路先一覧」に「アステラス製薬株式会社」1名(東京都)令和4(2022)年度修了生(学部ではなく大学院)
大阪大学 薬学部・大学院薬学研究科「令和7年度卒業生・修了生の主な就職先」の製薬関係企業の欄に「アステラス製薬株式会社」令和7年度(学部の卒業生と大学院の修了生をまとめた一覧)
[8] [9] [10] [11]

この4件のうち、いちばん目を引くのは西南学院大学の商学部商学科です。製薬会社というと薬学部か理系の大学院からしか入れないように見えますが、商学科の「主な内定先」に社名が載っています。しかもこれは2026年3月卒業者、つまり直近の実績です。次の節で、会社の側が文系についてどう書いているかを見ます。[9]

会社が学部・専攻について書いていること(引用)

アステラス製薬の採用FAQには、この記事の読者そのものを想定した質問があります。「文系出身者でも活躍できるフィールドはありますか?」——回答はこうです。「薬系、理系、文系といった幅広いバックグラウンドを持つ社員が、それぞれの専門性を活かして活躍しています。文系出身者の多くは、営業職(MR)として最前線で力を発揮しています」。文系の入口がどこかを、会社が名指ししています。[2]

MR職の紹介ページには、その理由にあたる記述もあります。MRにはMR認定制度という資格があるのですが、会社は「認定試験については入社後の導入研修を受講することで、合格できるようなカリキュラムを組んでいます」と説明したうえで、「よって様々な学部を卒業された方がMRとして全国で活躍しています」と書いています。資格を先に取っておく必要はない、ということです。[3]

英語についても答えがあります。「英語力はどのくらい必要ですか?」——「職種により異なりますが、選考段階で必須となる英語力はございません」。グローバル企業だから英語ができないと出せない、という思い込みは、少なくとも選考の段階については会社が否定しています。[2]

既卒の扱いも書かれています。「既卒者です。応募は可能ですか?」——「応募は可能です。但し、直近で正社員としての職務経験がある方はキャリア採用となりますので、新卒としての応募は不可とさせていただいております」。卒業してから何年という制限ではなく、正社員としての職歴があるかどうかで新卒とキャリアが分かれる書き方です。募集要項の各職種にも「※未就業者に限る」と付いています。[2] [1]

同じ会社の中で、入口の条件がまったく違う

アステラス製薬の募集要項は、部門ごとに応募資格を分けて書いています。この分け方を知らないまま「製薬会社は院卒でないと無理」と決めるのは早すぎます。2027年度入社の募集要項から、部門ごとの条件を並べます。

部門ごとの応募資格(アステラス製薬 2027年度 新卒入社募集要項より)
部門主な職種学部・学位の条件(会社の文言)勤務地
研究部門創薬研究職(メディシナルケミスト)「理系大学(6年制カリキュラム・修士課程)を卒業・修了もしくは卒業・修了見込みの方」+有機合成化学・創薬化学・薬品化学の専門知識茨城(つくば)
開発部門臨床開発職/臨床薬理職/モデリング&シミュレーション職「理系大学(6年制カリキュラム・修士課程・博士課程)」東京
製薬技術部門製剤研究職/合成技術職/バイオプロセス職/物性研究職/創薬物性研究職「理系大学(6年制カリキュラム・修士課程・博士課程)」茨城・静岡(焼津)・富山
製薬技術部門エンジニアリング職「理系大学(学士課程・修士課程・博士課程)」(学部卒も対象)茨城・静岡(焼津)・富山
製薬技術部門品質管理職/バイオ生産技術職/製造技術職/企画統制職「理系大学の学士課程・修士課程・博士課程または理系の6年制カリキュラム」(学部卒も対象)静岡(焼津)・富山・茨城(高萩)
営業部門MR職(医薬情報担当者)「大学・大学院を卒業・修了もしくは卒業・修了見込みの方」+「全国転勤が可能な方」(理系・文系の指定なし)全国
Digital X部門データサイエンティスト職/AIエンジニア職「大学(学士課程・修士課程・博士課程)」(理系の指定なし。ただしプログラミング・データ解析や英語の条件あり)東京・茨城(つくば)
Digital X部門計算化学/バイオロジカル分子設計「大学(6年制カリキュラム・修士課程・博士課程)」+分子シミュレーションや機械学習の技術東京・茨城(つくば)
[1]

表を上から下まで読むと、条件が3つに分かれているのが分かります。1つめは理系の修士以上でないと出せない入口(研究・開発・製薬技術の研究系)。2つめは理系だが学部卒でも出せる入口(エンジニアリング職、品質管理職、バイオ生産技術職、製造技術職、企画統制職)。3つめは学部・学科の指定がない入口(MR職と、Digital X部門のデータサイエンティスト職・AIエンジニア職)。「製薬会社」とひとくくりにすると、この違いが見えなくなります。[1]

もう1つ、部門紹介のページを読むと会社の作りが分かります。会社は経営企画、ライフサイエンスに関わる新規事業のRx+事業創成、Digital X、そして人事・法務・財務経理などの管理部門をまとめて「コーポレート機能」と呼んでいます。上の表にあるDigital X部門は、その中の1つです。勤務地は本社(東京都)です。[4]

MR職の中身も、会社のページにはっきり書かれています。「MRは、医薬品の品質や有効性、安全性などに関する情報の提供・収集・伝達を主な業務としており、自社医薬品の価格交渉は実施しません」。値段の交渉は医薬品卸の営業担当者(MS)の仕事だと、会社が線を引いています。営業職と聞いて価格交渉を思い浮かべる人にとっては、仕事の中身がかなり違うということです。[3]

大学名で差がつかない土俵は、この会社では4つある

「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。アステラス製薬が公開している募集要項とFAQから特定できるのは、次の4つです。

土俵1:MR職には学部・学科の条件がない

募集要項のMR職の応募資格は2行しかありません。卒業・修了の時期と、全国転勤が可能かどうかです。理系・文系の指定も、専攻の指定もありません。文系でこの会社を志望するなら、ここが正面の入口です。[1]

土俵2:MR認定資格は入社前に要らない

MR認定試験は入社後の導入研修で合格できるカリキュラムが組まれていると会社が書いています。入社前に資格を持っている人が有利になる設計にはなっていません。研修についてもFAQに書かれていて、「入社後、新入社員全員で約10日間の集合研修を受けていただきます。その後は、各部門に分かれて、配属となります。MR職はそのまま約1年間の研修を受講いただく予定です」。1年かけて育てる前提だということです。[3] [2]

土俵3:先輩の紹介という経路が、そもそも会社側に無い

OB・OG訪問についてFAQはこう答えています。「個別に先輩社員を紹介することは行っておりませんが、個人的にコンタクトされることに関しては特に制限しておりません。当社主催の採用イベントに先輩社員が参加する場合もございますので、ご確認の上、是非ご参加ください」。会社から紹介する仕組みを持っていないので、卒業生が多い大学ほど情報が集まるという差が、この経路では生まれません。代わりに会社が案内しているのは採用イベントで、そこは誰でも参加できます。[2]

土俵4:選考の段階で英語力は問われない

「選考段階で必須となる英語力はございません」とFAQに書かれています。ただし同じ回答の後半では「アステラスでは、グローバルな環境で活躍する機会が豊富にあります。英語に前向きに取り組める方は、ぜひご自身の可能性に挑戦してください」とも書いています。入る時点の条件ではないが、入ってからは使う場面がある、という位置づけです。[2]

応募の前に確かめておくこと。3つだけ

募集要項とFAQを読んで、応募の前に自分で確かめておいたほうがよいことは3つでした。

確認1:自分が出せる職種はどれか

前の節の表のとおり、この会社は職種ごとに条件が違います。しかも研究系は専門知識まで条件に入っています。たとえば創薬研究職(メディシナルケミスト)は「有機合成化学、創薬化学、薬品化学の専門知識を有している方」です。自分の専攻がここに当たるかどうかを先に確かめてから、エントリーする職種を決めてください。[1]

確認2:全国転勤ができるかどうか

MR職の応募資格には「全国転勤が可能な方」が入っています。勤務地の欄も「全国」です。一方、研究部門は茨城(つくば)、開発部門は東京、製薬技術部門は茨城・静岡・富山と、部門ごとに場所が決まっています。地元で働きたい人にとっては、志望する職種で勤務地の考え方がまったく違うということです。[1]

確認3:正社員としての職歴があるかどうか

既卒でも新卒採用に応募できますが、直近で正社員としての職務経験がある場合はキャリア採用になります。募集要項の各職種にも「※未就業者に限る」と付いています。一度就職して辞めた人は、新卒枠ではなくキャリア採用のページから応募することになります。この切り分けを最初に確かめておくと、無駄な往復が減ります。[2] [1]

会社が公開している数字

アステラス製薬は、初任給と働き方の数字を採用サイトで公開しています。金額の大小を比べる前に、何を含んだ額かを確かめてください。

初任給(2025年度実績・アステラス製薬 募集要項より)
区分月給
博士406,600円
MR職以外:修士・学士(6年制)364,100円
MR職:修士・学士(6年制)356,700円
学士4年制326,700円
[1]
働き方の数字(2025年3月期・アステラス国内単体)
項目数字
平均年齢42.3歳
平均勤続年数15.7年
月の時間外時間数6.7時間
有給取得日数16.6日
兼業者205人
[7]

この表で目を引くのは、平均勤続年数15.7年と、月の時間外6.7時間です。あわせて会社は働き方の制度も公開しています。2009年から続くFF day(Family Friday)は「毎週金曜日は終業時間を1時間45分繰り上げ、社員が家族と過ごす時間や自己啓発など、プライベートを充実させるための環境を整備しています」というもの。フレックスタイムについては「2020年4月からこれまでのフレックスタイム制度のコアタイム(10:00 - 15:00)を廃止して、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制度へ移行しました」と書かれています。兼業も2020年4月に制限が緩和され、205人が実際に兼業しています。[5] [7]

会社の規模も数字で出ています。従業員数は連結で13,643名、売り上げ収益合計は1兆9,123億円で、そのうち日本は14.0%(2,670億円)です。研究開発費は3,277億円で、売上収益の17.1%にあたります。日本の会社ですが、売上の8割以上は海外という構図です。[7]

30日でやること。大学名では動かない部分から埋める

大学名を変えることはできませんが、ここまでに出てきた事実のうち、いくつかは今日から動かせます。順番に書きます。

  • 1〜3日目:自分が出せる職種を1つに絞る。募集要項の部門ごとの条件を読み、理系の修士以上が条件の職種、学部卒でも出せる理系の職種、学部・学科の指定がない職種(MR職・Digital X部門の一部)のどれに自分が入るかを確かめる
  • 4〜7日目:MR職を選ぶなら、全国転勤の条件を家族や自分の事情と突き合わせる。ここは後から変えられない条件なので、先に決める
  • 8〜14日目:MRの仕事の中身を、会社のページから書き写して自分の言葉に直す。情報の「提供」「収集」「伝達」の3つと、価格交渉をしないという線引きは、会社が自分で説明している内容。志望動機をここから組み立てると、他の人と同じ文章になりにくい
  • 15〜21日目:採用イベントの案内を確認する。会社はOB・OG紹介を行っていない代わりに、当社主催の採用イベントに先輩社員が参加する場合があると書いている。先輩がいない大学でも、ここは同じ条件で参加できる
  • 22〜30日目:応募書類を書く。英語は選考の段階では必須ではないと会社が書いているので、英語の資格を急いで取るより、自分の経験を具体的に書くことに時間を使う
[1] [2] [3]

志望動機については、会社が公開している事実を1つ選び、それを読んで自分が何を思ったかを書き、自分の経験のどこと重なるかを1つ挙げる。この3つがそろえば、他の誰にも書けない文章になります。たとえばMR職のページにある「多くの候補化合物から新薬として世に出てくる確率は、約30,000分の1と極めて低く、一つの新薬を開発するには、約10年から20年の長い年月と、多額の研究開発費が必要です」という記述。3万分の1という数字を読んで自分が何を思ったかは、他の人には書けません。[3]

会社のページには2027年度の募集は終了したと書かれています。この記事の資料ごとの確認日は、出典欄に1件ずつ書いています。採用の条件・日程・待遇は年度によって変わるので、応募の前に必ず最新の募集要項を見てください。どの職種で出すか、経験をどう言葉にするかで迷ったときは、逆転就活塾の無料相談で一緒に整理することもできます。

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. アステラス製薬 新卒採用サイト 募集要項確認日:2026-09-10 / 2027年度 新卒入社募集要項(※2027年度の募集は終了しましたの記載あり)。部門ごとの募集職種と応募資格(研究部門・開発部門・製薬技術部門・営業部門・Digital X部門)、未就業者に限る旨、勤務地、試用期間、初任給(2025年度実績)、昇給・賞与、就業時間、FFDay、休日休暇、福利厚生。あわせて博士通年選考とキャリア募集要項
  2. アステラス製薬 新卒採用サイト よくあるご質問確認日:2026-09-10 / 新卒採用のFAQ。既卒者の応募可否と「直近で正社員としての職務経験がある方はキャリア採用」の記載、OG・OB訪問の方針、外国人留学生の応募、「文系出身者の多くは、営業職(MR)として最前線で力を発揮しています」、入社時期、入社後の研修(全員で約10日間の集合研修とMR職の約1年間の研修)、「選考段階で必須となる英語力はございません」
  3. アステラス製薬 新卒採用サイト 部門紹介 営業(MR職)確認日:2026-09-10 / MR職の仕事の内容。新薬になる確率「約30,000分の1」と開発期間「約10年から20年」、情報の提供・収集・伝達の説明、育薬の説明、MRが価格交渉をしない旨、MR認定制度と入社後の導入研修で合格できるカリキュラムを組んでいる旨、「様々な学部を卒業された方がMRとして全国で活躍しています」、入社後1年間の導入研修プログラム、勤務地は全国
  4. アステラス製薬 新卒採用サイト 部門紹介 コーポレート機能確認日:2026-09-10 / 経営企画、Rx+事業創成、Digital X、人事・法務・財務経理などの管理部門の説明。勤務地は本社(東京都)
  5. アステラス製薬 新卒採用サイト 働く環境 ワークライフバランス確認日:2026-09-10 / スーパーフレックスタイム制度(2020年4月にコアタイム10:00 - 15:00を廃止)、在宅勤務制度、兼業制限の緩和(2020年4月)、FF day(毎週金曜日は終業時間を1時間45分繰り上げ)、結婚・妊娠出産・育児・復職・介護の各制度、外部からの評価
  6. アステラス製薬 新卒採用サイト 働く環境 人材育成(キャリア開発)確認日:2026-09-10 / 「アステラスでの成長やキャリア形成は、あくまでも自己責任が基本です」の記載、社内リクルート制度(随時応募可能で、募集する部門と応募者のニーズが合えば異動が実現)、社内インターンシップ制度
  7. アステラス製薬 新卒採用サイト 数字で見るアステラス確認日:2026-09-10 / 2025年3月期の数字。従業員数(連結13,643名)、売り上げ収益合計1兆9,123億円と地域別の比率、研究開発費3,277億円と売上収益研究開発費比率17.1%、アステラス国内単体の平均年齢42.3歳・平均勤続年数15.7年・月の時間外時間数6.7時間・有給取得日数16.6日・兼業者205人。数値はSVGカウンターで文字として取れないため、ブラウザで各画像のalt属性から読み取って書き起こした
  8. 千葉工業大学 主な進路先(就職実績・過去3年)確認日:2026-09-09 / パンくずは「キャリア・就職 > 就職実績(過去3年) > 主な進路先」。学部・学科ごとの一覧のうち、先進工学部 生命科学科の欄に「アステラス製薬㈱」。一覧そのものに対象年の記載はない
  9. 西南学院大学 就職決定状況と主な内定先確認日:2026-09-09 / 「就職実績(2026年3月(前年9月含む)卒業者実績)」のページ。「学部別の主な内定先」の商学部商学科「主な内定先(2026年3月(前年9月含む)卒業者実績)」に「アステラス製薬」
  10. 岩手大学 令和4(2022)年度 進路先一覧確認日:2026-09-09 / 学部・研究科ごとに節が分かれたPDF。「令和4(2022)年度 総合科学研究科修了生 進路先一覧」の節に「アステラス製薬株式会社」1名(都道府県の欄は東京都)。学部ではなく大学院の実績
  11. 大阪大学 大学院薬学研究科・薬学部 卒業後の進路確認日:2026-09-10 / 「令和7年度卒業生・修了生の主な就職先」の製薬関係企業の欄に「アステラス製薬株式会社」。学部の卒業生と大学院の修了生をまとめた一覧のため、学部だけの実績には分けられない

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