どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる
会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。AGCについて確認できたのは次の4大学です。東京工科大学だけは2つの学部に社名があるので、行を分けています。[4] [5] [6] [7]
| 大学・学部(学科) | 掲載されている資料と見出し | 資料が示す対象年度 |
|---|---|---|
| 東京工科大学 応用生物学部応用生物学科 | 公開資料「主な就職先(学部)(2025年度卒業生)」の応用生物学部の欄に「AGC」 | 2025年度卒業生(2026年5月1日現在) |
| 東京工科大学 工学部応用化学科 | 同じ資料の【応用化学】の欄に「AGC」 | 2025年度卒業生(2026年5月1日現在) |
| 立命館大学 産業社会学部 | 「学部別進路・就職状況」の産業社会学部「進路・就職先一例」に「AGC(株)」 | 2023年度 |
| 兵庫県立大学 工学部・大学院工学研究科 | 「過去3年間の進路先」の業界・セグメント「化学・素材・繊維」に「AGC」 | 一覧に年度の記載なし(「最近3年間」・2026年9月取得) |
| 信州大学 経法学部 | 「経法学部卒業生 過去3年間の主な進路・就職先」の業種「その他製造業」に「AGC(旭硝子)」 | 令和3〜5年度(2021〜2023年度)の3年分。3年のうち1年は2022年度より前 |
4大学の顔ぶれを見てください。東京工科大学は八王子と蒲田にキャンパスを持つ私立大学で、そこから応用生物学部と工学部応用化学科の2つの学部に社名が出ています。立命館大学は産業社会学部、つまり理工系ではありません。信州大学も経法学部です。世界トップシェアの製品を並べるガラス・化学の会社ですが、大学の資料に残っている顔ぶれは、理系の名門校だけではありません。[4] [5] [6]
会社が学歴・専攻について書いていること(引用)
AGCの新卒採用情報の応募資格は、次の1文です。「原則として2027年6月~2028年3月に、高等専門学校・大学・大学院修士課程、博士課程を卒業および修了見込みの方」。学部や学科の指定はありません。そして高等専門学校が、大学・大学院と並べて先頭に書かれています。素材メーカーの募集要項で高専が明記されている例は多くありません。[1]
同じ応募資格の欄には、もう1つ注記があります。「※公平・公正な採用活動の観点から、二親等以内の親族が当社の総合職社員である方は、ご応募いただけません」。これは、社員の子や兄弟姉妹、孫、祖父母、おじおばまでを応募の対象から外す、という意味です。縁故を有利に働かせないためではなく、そもそも応募させない、という書き方をしています。「知り合いがいる人が有利なのでは」という不安を持っている人にとっては、会社が正面から否定している数少ない記述です。[1]
採用FAQにも、学歴と経歴に関わる記述が並んでいます。「理系でも事務系に応募することはできますか?」への答えは「できます。理系のバックグラウンドを活かして活躍している社員もたくさんいますので、ご安心ください」。「既卒者でも応募することはできますか?」には「可能です。既卒の方も、卒業後3年以内かつ正社員としての就労経験がない場合は、新卒としてご応募いただけます」。「語学力はどの程度必要でしょうか?」には「語学力不足を理由に採用しないということはありませんが、事業のグローバル化が進む中、英語は必要となりますので、学ぶ「気持ち」は必須です」。[1]
大学名で差がつかない土俵は、この会社では5つある
「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。AGCが公開している募集要項・FAQ・職種紹介から特定できるのは、次の5つです。
土俵1:応募資格に学部・学科の条件がなく、高専が明記されている
応募資格は卒業・修了の時期だけで、学部・学科の指定がありません。高等専門学校が大学・大学院と並べて書かれているので、学校の種類そのものを条件にしていないことが分かります。既卒も卒業後3年以内かつ正社員経験なしなら新卒として応募できます。[1]
土俵2:縁故が応募の時点で禁じられている
二親等以内の親族が総合職社員だと応募できません。会社はその理由を「公平・公正な採用活動の観点から」と書いています。ここは推測を挟む余地がなく、社内に身内がいることが有利に働く経路は、制度として閉じられています。[1]
土俵3:技術系は「部門・職種別採用」で、専攻と職種の対応表が公開されている
会社はこう書いています。「AGCの技術系採用は、職種ごとに募集する「部門・職種別採用」方式を採っています。私たちは、学生の皆さん一人ひとりとのマッチングを重視します」。職種紹介のページには、専攻(化学・機械・電気電子・IT情報・物理・生物・バイオ薬学・その他理系・法学・その他文系)と職種を突き合わせた表が置かれていて、自分の専攻がどの職種につながるかを、応募前に自分で確認できます。大学名ではなく専攻と職種の組み合わせで見る、という設計です。[1] [3]
土俵4:事務系は法務以外なら理系からも応募できる
職種紹介のページに「なお、事務系職種には理系の方もご応募いただけます(法務以外)」と書かれています。事務系の職種は営業・マーケティング、調達・ロジスティクス、経理・財務、人事・総務、法務の5つ。このうち法務だけが例外で、残る4つは理系からも入れます。技術系と事務系の併願はできない(FAQに「申し訳ございませんが、併願はできません。エントリーの際は、どちらか一方を選択してください」とあります)ので、どちらで戦うかは先に決める必要があります。[1] [3]
土俵5:面談が複数回あり、遠方には交通費が出る
技術系の選考フローは、プレエントリー → 本エントリー(ES提出) → WEB会社説明会 → 社員面談(複数回) → 最終面接。事務系は、プレエントリー → 会社説明会・各種イベント(WEB) → 本エントリー(ES提出と適性検査) → 人事面談(WEB・数回) → 最終面接。どちらにも「対面で実施する場合、遠方の方には交通費を補助します(当社規定額)」と書かれています。地方の大学に通っていて交通費が負担になる人にとって、これは実際に効く条件です。[1]
技術系と事務系。専攻と職種の対応
AGCの新卒採用は技術系と事務系の2つに分かれ、併願できません。それぞれの募集職種を、会社の募集要項のまま並べます。
| 区分 | 募集職種 | 採用の方式 |
|---|---|---|
| 技術系 | 研究開発/製品開発/プラントエンジニア(化学品カンパニー)/生産技術・設備技術・プラントエンジニア/生産技術・製造エンジニア/品質保証/技術営業/デジタル・イノベーション/環境安全/調達・ロジスティクス など | 部門・職種別採用 |
| 事務系 | 営業・マーケティング/調達・ロジスティクス/経理・財務/人事・総務/法務 など | 原則一括採用。一部部門にて職種別採用あり |
事務系が「原則一括採用」であることは、専攻に自信がない人にとって意味があります。職種を1つに決めて応募するのではなく、まとめて選考を受ける形だからです。一方で技術系は職種ごとの募集なので、自分の専攻がどの職種に対応するかを先に確認する必要があります。会社はそのための対応表を職種紹介のページに置いています。[1] [3]
応募の条件と、入社後の条件
| 項目 | 公開されている内容 |
|---|---|
| 応募資格 | 原則として2027年6月〜2028年3月に、高等専門学校・大学・大学院修士課程、博士課程を卒業および修了見込みの方 |
| 応募できない人 | 二親等以内の親族が当社の総合職社員である方(会社は理由を「公平・公正な採用活動の観点から」と記載) |
| 既卒 | 卒業後3年以内かつ正社員としての就労経験がない場合は新卒として応募可 |
| 併願 | 技術系と事務系の併願は不可 |
| 初任給(2026年度総合職・基準内賃金) | 学部卒305,660円(年収471万円)/修士了337,280円(年収578万円)/博士了389,980円(年収662万円) |
| 勤務地 | 本社=東京、研究所=横浜、事業部営業支店=東京・名古屋・大阪・福岡ほか、工場=鹿島・千葉・横浜・相模・愛知・尼崎・高砂・福島・米沢・静岡ほか |
| 勤務時間 | 基準就業時間1日8時間45分(労働7時間45分・休憩1時間)、フレックスタイム制(コアタイムなし)、時間外労働あり |
| 休日休暇 | 完全週休2日制、祝日、有給休暇ほか。年間休日128日、年末年始9連休、ゴールデンウィーク8連休(2026年度) |
| 福利厚生 | カフェテリアプラン(通常ポイント年間最大12万円、学びポイント年間最大12万円)、寮・社宅制度、企業年金基金、持株制度ほか |
| 配属 | 「本人の希望と適性、各職場のニーズを総合的に判断して決定します。必ずしも希望通りになるとは限りませんが、入社後も社内公募制度を通じて自分の目標に近づくことができる仕組みを用意しています」 |
| 異動 | 「入社後10年間で能力開発・視野拡大を図るために2〜3部署を経験する方が多いです」。毎年の面談で職種と勤務エリアを申告する機会あり |
年間休日128日と、年末年始9連休・ゴールデンウィーク8連休という具体的な日数まで公開している会社は多くありません。カフェテリアプランの「学びポイント」が通常ポイントとは別枠で年間最大12万円というのも、入社後に学び直す前提の制度です。大学名で不安を持っている人ほど、入社後に伸ばせる仕組みがあるかどうかは見ておく価値があります。[1]
公開されている数字を、どう読むか
AGCが公開している数字のうち、就活の判断に直接効くものを並べます。
| 項目 | 公開されている数値 |
|---|---|
| 2026年度総合職入社実績(技術系) | 90名 |
| 2026年度総合職入社実績(事務系) | 22名 |
| 売上高 | 2兆588億円(2025年) |
| 研究開発費 | 603億円(2025年実績) |
| 設備投資額 | 2,513億円(2025年実績) |
| 従業員数(日本・アジア) | 約33,900名(2025年12月期) |
| 従業員数(ヨーロッパ) | 約14,500名(2025年12月期) |
| 従業員数(アメリカ) | 約4,500名(2025年12月期) |
| 海外赴任者 | 総合職社員のうち305名が海外赴任中(2026年7月時点) |
| 研究所の博士人財の割合 | 約3名に1名 |
技術系90名に対して事務系22名。この差は、事務系を狙う人が最初に知っておくべき数字です。一方で技術系は「部門・職種別採用」なので、90名が1つの列に並ぶわけではなく、職種ごとに分かれます。どちらの区分でも、自分が入る列がどれくらいの幅なのかは公開されていません。[1]
この記事を読んだあと、最初にやること
大学名を変えることはできませんが、ここまでに出てきた事実のうち、いくつかは今日から動かせます。順番に書きます。
- 技術系か事務系かを、先に決める。併願できません。事務系は原則一括採用で、法務以外なら理系からも応募できます。技術系は職種ごとの募集です。入社実績は技術系90名・事務系22名で、枠の大きさが4倍ほど違います。
- 職種紹介の専攻×職種の表を開く。自分の専攻の行を見て、どの職種につながっているかを確認する。土木・建築系や管理工学・経営工学、物理も名指しで対象に入っています。「化学専攻じゃないから」で降りる前に、必ずこの表を見る。
- 高専生・既卒の人は、条件を読み直す。応募資格の先頭に高等専門学校が書かれています。既卒も卒業後3年以内かつ正社員経験なしなら新卒として応募できます。自分が対象外だと思い込んでいないか、原文で確かめる。
- 英語は、条件ではなく前提として準備する。「語学力不足を理由に採用しないということはありません」と会社は書いていますが、続けて「英語は必要となりますので、学ぶ「気持ち」は必須です」とも書いています。点数を上げるより、学び続ける姿勢を具体的な行動で示せるようにしておく。
- 面談が複数回あることを前提に組み立てる。技術系は社員面談が複数回、事務系は人事面談が数回あります。1回の受け答えで決まらない代わり、同じ話を角度を変えて話せる準備が要ります。遠方なら交通費補助があることも覚えておく。
最後に1つ。この記事の表に載っている4大学は、本コラムが調べた範囲での結果です。載っていないから入れない、という意味ではありません。逆に、載っているから入りやすい、という意味でもありません。会社が公開している条件(学部・学科の指定なし、高専を明記、縁故は応募の時点で不可、事務系は法務以外なら理系も可)と、大学の資料に残っている事実。この2つを手がかりに、自分が時間を使う場所を決めてください。[1] [3] [4] [5] [6] [7]
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- AGC 新卒採用情報確認日:2026-09-10 / 応募資格(2027年6月〜2028年3月に高等専門学校・大学・大学院修士課程、博士課程を卒業および修了見込み/二親等以内の親族が総合職社員である方は応募不可)、募集職種(技術系・事務系)、初任給(学部卒305,660円・修士了337,280円・博士了389,980円/2026年度総合職基準内賃金)、勤務地、勤務時間、休日休暇(年間休日128日・年末年始9連休・GW8連休)、福利厚生(カフェテリアプラン)、入社実績(2026年度総合職 技術系90名・事務系22名)、技術系と事務系の選考フローと交通費補助、よくある質問(技術系と事務系の併願不可、理系でも事務系に応募可、OB・OG訪問の扱い、既卒3年以内、語学力、海外の大学・留学生からの応募、配属と異動)
- AGC データで見るAGC(採用サイト)確認日:2026-09-10 / 売上高2兆588億円(2025年)、研究開発費603億円、設備投資額2,513億円、地域別の従業員数(日本・アジア約33,900名/ヨーロッパ約14,500名/アメリカ約4,500名。2025年12月期)、海外赴任者305名(2026年7月時点)、研究所の博士人財の割合「約3名に1名」
- AGC 職種紹介(採用サイト)確認日:2026-09-10 / 専攻(化学・機械・電気電子・IT情報・物理・生物・バイオ薬学・その他理系・法学・その他文系)と職種の対応表、「なお、事務系職種には理系の方もご応募いただけます(法務以外)」、注釈(物理系専攻から製品開発、プラントエンジニアは土木・建築系専攻も対象、生産管理は管理工学・経営工学専攻が中心)、技術系・事務系それぞれの職種の概要
- 東京工科大学 卒業(修了)者数、進学者数、就職者数、主な就職先確認日:2026-09-10 / 「(2)-2 主な就職先(学部)(2025年度卒業生)」。応用生物学部の欄と、工学部の【応用化学】の欄の2か所に「AGC」。学部の在籍・就職者数は2026年5月1日現在。大学院修士課程の一覧は別(そちらにAGCはない)
- 立命館大学 学部別進路・就職状況(2023年度)確認日:2026-09-09 / 2023年度の一覧。各ページの見出しは「2023年度 学部別進路・就職状況」。産業社会学部の「進路・就職先一例」に「AGC(株)」。なお同じ形式で翌年度の資料(results-2025.pdf)にはAGCの記載はない
- 兵庫県立大学 工学部・大学院工学研究科 過去3年間の進路先確認日:2026-09-09 / 「最近3年間の学部及び大学院卒業生の、業界・セグメントごとの主な進学先・就職先企業名です(順不同)」。業界・セグメント「化学・素材・繊維」に「AGC」。学部と大学院が同じ表にまとめられ、対象年度の記載はない
- 信州大学 経法学部 卒業後の進路確認日:2026-09-10 / 「経法学部卒業生 過去3年間の主な進路・就職先」の業種「その他製造業」に「AGC(旭硝子)」。同じページの進路状況の表は令和3年度・4年度・5年度の3年分
- 龍谷大学 就職実績一覧(2024年度)確認日:2026-09-09 / 一覧にあるのは「AGC 硝子建材株式会社」で、AGC株式会社とは別の会社。記事の表には入れていない
- 金沢工業大学 進路データ確認日:2026-09-09 / 都道府県別に社名と数字を並べた資料に「AGC」。この数字は採用人数ではなく在籍者数の累計にあたるもので、対象年度も記載がないため記事の表には入れていない