どの大学から入っているのか。大学側の資料は1件、会社側の説明が本命

まず正直に書きます。松竹について、大学が公開している進路資料で社名を確認できたのは、いまのところ1件だけです。[1]

松竹を就職先として掲載している大学(大学公式資料・2026年9月9日確認)
大学・学部掲載されている資料対象範囲
桜美林大学 芸術文化学群「芸術文化学群の卒業生の主な就職先(2023〜2025年度卒業生実績)」の「情報通信」の欄に「松竹」2023〜2025年度卒業生実績。同じページの別の欄にはグループ会社の名前も出てくるので、下の注を読んでください
[1]

1件だけでは、どんな大学から入っているのかは分かりません。ただしこの会社には、大学側の資料より直接的な材料があります。会社自身が、Q&Aで出身大学について答えているのです。[2]

新卒採用サイトの「松竹をもっと知るための15のQ&A」の7番目は、質問がそのまま「どんな大学や学部出身の人が多いですか?」です。回答を全文引きます。[2]

  • 「文系出身の社員が多いですが、音楽大学や芸術大学、大学院や理系学部、体育・スポーツ系学部などさまざまな経歴を持った社員がおります。また、新卒採用において学歴フィルターは一切ございません。」
[2]

「新卒採用において学歴フィルターは一切ございません」。ここまではっきり書いている会社は多くありません。これは口コミではなく、会社が自社サイトに載せている文章です。[2]

続く8番目の質問も出身に関するものです。「海外の大学に通っていた人や外国籍の人はいますか?」への回答は「どちらの社員もおります。海外の大学に短期や長期で留学していた社員もいれば、海外の大学を卒業した社員もいます。また、日本のアニメやコンテンツが好きで単身日本に渡り、松竹に入社をした外国籍の社員も在籍しています」でした。[2]

会社が応募資格について書いていること(引用)。卒業年ではなく生年月日で区切っている

募集要項の応募資格は、次の3つを「すべて満たしている方」です。[3]

  • (1)4年制大学を卒業見込みまたは、卒業した方
  • (2)就業経験のない方(正社員として勤務したことのない方)
  • (3)1997年4月2日以降に生まれた方
[3]

ここは読み飛ばさないでください。ほかの多くの会社が「2027年3月卒業見込み」「既卒3年以内」のように卒業年で区切るのに対し、松竹は生年月日で区切っています。[3]

つまり、正社員として働いた経験がなく、1997年4月2日以降に生まれていれば、大学を出て何年経っていても新卒採用に応募できる、と読めます。浪人や留年をした人、卒業後に就職先が決まらないまま時間が経った人、アルバイトをしながら次を探していた人にとって、この書き方は大きな違いです。[3]

募集の中身も確認しておきます。[3]

松竹の新卒採用の募集要項(2027年度新卒採用)
項目内容
募集職種総合職(映像、演劇、不動産、その他事業、管理に関する各職種)
募集人員15名程度
初任給270,000円(2025年4月実績)
諸手当家族手当、資格手当、通勤手当 等
昇給・賞与昇給 年1回(4月)/賞与 年2回(7月・12月)
勤務地本社(東京)および支社(大阪)、その他営業所
勤務時間フレックスタイム制(標準労働時間7時間30分)。コアタイム11:00〜16:00(部署によって変動あり)。現業部門(劇場・映画館他)は標準労働時間7時間
定年満60歳(継続雇用制度あり)
[3]

もう1つ、会社が求める人物像として書いている文章にも、はっきりした一文があります。「誰もが称賛するような実績・華々しい経歴はなくて構いません。『あなたらしさ』は、今までの人生を振り返ったときに、おのずと見えてくるはずです」。その直前には「ぜひ、ご自身の経験やあなたらしさを、等身大の言葉で教えてください」とも書かれています。[3]

学歴に頼らずに戦える土俵。つてがある人が有利にならない仕組みがある

この会社のQ&Aには、就活の不安に直接答えている項目がいくつもあります。学歴や人脈に自信がない人に効くものを3つ挙げます。[2]

1つ目。「映画や演劇、アニメに詳しくないと松竹では働けないですか?」への回答。[2]

  • 「そんなことは全くありません!実際に、年に一度しか映画館に行かない人や歌舞伎を一度も観たことない人も採用されています。知識は入社後にいくらでも身に付けていくことができます。ご安心ください。しかし、志望本部や部署、志望業務に関わる作品はご覧になった方が会社理解に繋がると思います。」
[2]

2つ目。「より松竹を知るために、OBOG訪問はできますか?」への回答。[2]

  • 「もちろん可能です。しかしながら、公平性および個人情報保護の観点から人事部による社員紹介は行っておりません。直接連絡をお取りください。」
[2]

人事部が社員を紹介しないということは、会社の側からOBOGへの経路を用意していないということです。つまり、大学に松竹の卒業生がたくさんいる人と、1人もいない人の差が、会社の制度としては作られていません。会社は代わりに「インターンシップやセミナーなどで現場社員が登壇する機会もありますので、ぜひそのような場で松竹社員の雰囲気を感じてもらえるとうれしいです」と書いています。[2]

3つ目。「内定者のインターンシップ参加率は高いですか?」への回答。[2]

  • 「高い年もあれば、低い年もあります。内定者のなかにはインターンシップ参加者もいれば、不合格だった人もいます。なかには、松竹でインターンシップを行っていたことを知らなかった内定者も…」
[2]

インターンに落ちた人も内定しているし、インターンの存在を知らなかった人も内定している。早く動けなかったことを引きずっている人は、この一文を読んでください。[2]

では何で選ばれるのか。選考の中身を見ます。[4]

松竹の新卒採用の選考フロー(新卒採用サイト)
段階
1エントリーシート・動画・WEBテスト
2グループ面接・グループディスカッション
3個人面接
4最終面接
5内々定
[4]

あわせて、エントリーシートには配属の意味もあります。Q&Aの11番目に「エントリーシートがみなさんからいただく最初の配属希望となっています」と書かれています。配属は「内定後に本人の希望と適性を鑑みた上で」決まり、そのあと入社後4年間のジョブローテーション制度と、年に1度提出するキャリアプランシートを通して会社と一緒に考えていく、という説明です。[2]

入ったあと何をするのか。4年間で複数の部署を回る

総合職の対象は「映像、演劇、不動産、その他事業、管理に関する各職種」です。映画会社というイメージがありますが、不動産も事業の柱として募集職種に並んでいます。[3]

会社はQ&Aの1番目で、事業の幅についてこう書いています。「ミッションの1つに『日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する。』とあるように、伝統文化に関わる事業も大切にしていますが、映画、演劇、不動産、イベントなど幅広い事業展開をしています。ゲームなど新規領域への進出や新たなコンテンツの開発にも力を入れており、さまざまなキャリアの可能性があります」。[2]

入社後4年間はジョブローテーション制度が適用されます。理由も書かれています。「松竹という会社全体を知っていただくとともに、複数の業務経験を通してご自身の適性や志望を見極めていただきたいと考えているからです」。[2]

プロデューサーを目指す人向けの回答もあります。「初期配属からプロデューサー職に就くことはほぼありません。お客様周りの業務や宣伝、営業、マーケティングなどを通して知識を蓄え、経験を積んでから配属されるケースが多いです。実績として、入社3年目でプロデューサー職に配属された社員がおりますが、配属年次はさまざまです」。[2]

研修は内定後から始まります。「2ヶ月に1度の内定者研修と入社後2ヶ月間の新入社員研修を実施しています。映画宣伝ワークなど実務に即した企画ワークや講義、先輩社員座談会を通して松竹やエンタメビジネスへの理解を深めていただくとともに、社会人としての基本的なビジネススキルを身につけていただきます」(※会社は「今後変更になる可能性もあります」と注記しています)。[2]

働き方についての質問にも答えています。「エンタメ業界ってやっぱりブラックで忙しいですか?」への回答は「もちろん部署によって繁忙期はありますが、社員のワークライフバランスを大切にしており、無理なく働ける環境づくりを行っています。具体的な取り組みとしては、22時オフィス完全消灯や長時間労働アラートメールなどがあります」でした。[2]

条件と制度。実家から遠い人には借り上げ社宅がある

地方から出てくる人にとって大きいのが住まいです。制度のページにこう書かれています。[5]

  • 借り上げ社宅 ※転勤者や実家から通勤1時間以上の新卒採用者に限る
[5]

「実家から通勤1時間以上の新卒採用者」が対象です。東京の本社まで実家から通えない人は、この対象に入る可能性があります。[5]

休暇や制度も数字が出ています。[5]

松竹の休日・休暇と制度(新卒採用サイト「働く人々を支える制度」)
項目内容
有給休暇 平均取得日数12.1日
休日土、日、祝日、年末年始、創立記念日、メーデー ※現業部門(劇場・映画館ほか)はシフト制
休暇年次有給休暇(初年度10日)、夏季休暇(5日)、忌引休暇、リフレッシュ休暇、結婚休暇、特別保存休暇、永年勤続休暇 等
柔軟な働き方フレックスタイム制(標準労働時間7時間30分)、テレワーク勤務・時短勤務あり ※部署の働き方に合わせて
出産・育児出産休暇、育児休業、出産祝い金、育児時短(小学6年終業まで)、子の看護休暇、病児保育・ベビーシッター補助 等
介護介護休業(通算1年)、介護支援サービス補助 等
学び内定者・新入社員研修、階層別研修、テーマ別研修、オンライン研修サービス、社外派遣研修、自己啓発支援 等
[5]

自己啓発支援については、社員の声として具体的な条件が書かれています。「費用の7割を会社が負担してくれる自己啓発支援(上限5万円/年間)を使っています。資格取得や研修受講など、自分が学びたい内容で申請できるため、毎年目標を定めてスキルアップに活用しています」。[5]

映画演劇鑑賞補助についても「プライベートで観た作品のチケット代を年間上限6,000円まで支給してもらえるので、必ず毎年申請しています」という声が載っています。[5]

中途採用の比率も公表されています。労働施策総合推進法に基づく開示で、正規雇用労働者の中途採用比率は2023年度34%、2024年度63%、2025年度50%(公表日2026年8月4日)。新卒だけで固めている会社ではなく、半分前後は中途で入っているということです。[6]

会社の規模を、公表数字で確かめる

会社概要から拾った数字です。[7]

松竹株式会社の基本情報(会社概要)
項目内容
会社名松竹株式会社(Shochiku Co., Ltd.)
所在地東京都中央区築地4丁目1番1号 東劇ビル
創業・設立創業:1895年(明治28年)/設立:1920年(大正9年)
資本金33,018百万円(2026年2月28日現在)
上場証券取引所東京証券取引所 プライム市場/札幌証券取引所/福岡証券取引所
従業員数619名(2026年2月28日現在)
[7]

いま何をすればいいか

この会社を受けるつもりなら、順番はこうです。[2] [3] [4]

  • まず応募資格の3つを自分に当てはめる。4年制大学の卒業見込みまたは卒業、正社員経験なし、1997年4月2日以降生まれ。卒業年で区切っていないので、既卒でも該当することがある
  • エントリーシートに書く配属希望を先に決める。Q&Aに「エントリーシートがみなさんからいただく最初の配属希望となっています」と書かれている。映像・演劇・不動産・その他事業・管理のどこか
  • 志望する本部・部署に関わる作品を観る。会社が「志望本部や部署、志望業務に関わる作品はご覧になった方が会社理解に繋がると思います」と書いている。全部を網羅する必要はない
  • 提出用の動画の準備をする。選考の最初の段階にエントリーシート・動画・WEBテストが並んでいる
  • WEBテストの対策もする。「学歴フィルターは無い」と書かれているが、WEBテストは選考の1段階目に入っている
  • グループディスカッションの練習をする。2段階目にある
[2] [3] [4]

OBOG訪問については、無理に探さなくて構いません。会社が「人事部による社員紹介は行っておりません」と書いているので、大学のつてが無いこと自体が不利になる仕組みにはなっていません。代わりにインターンシップやセミナーで登壇する社員の話を聞くよう、会社が案内しています。[2]

最後に、自分の大学の進路資料を一度開いてみてください。松竹のように大学側の掲載が少ない会社もありますが、大学が「主な就職先」として出している一覧には、思っていなかった会社が入っていることがあります。学群・学部ごとに分けて出している大学も多く、自分のところから実際にどこへ進んでいるかは、そこがいちばん確かな情報です。[1]

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. 桜美林大学 芸術文化学群 卒業生の進路確認日:2026-09-09 / 芸術文化学群の就職率、業種別就職割合(2025年度卒業生実績)、「芸術文化学群の卒業生の主な就職先(2023〜2025年度卒業生実績)」。「情報通信」の欄に松竹、「サービス」の欄に別会社の松竹衣裳
  2. 松竹 新卒採用サイト 松竹をもっと知るための15のQ&A確認日:2026-09-09 / 仕事・人・選考についての15問。7番「どんな大学や学部出身の人が多いですか?」の回答に「新卒採用において学歴フィルターは一切ございません」、2番に「年に一度しか映画館に行かない人や歌舞伎を一度も観たことない人も採用されています」、13番にOBOG訪問と人事部による社員紹介を行わない方針、14番に内定者のインターンシップ参加率、11・12番に配属とジョブローテーション、15番に内定者研修・新入社員研修、4番に22時オフィス完全消灯などの働き方の取り組み、5番にマネージャー・技術スタッフのポジションがない旨
  3. 松竹 新卒採用情報 募集要項確認日:2026-09-09 / 松竹グループのミッションと求める人物像(「誰もが称賛するような実績・華々しい経歴はなくて構いません」)、募集職種、募集人員15名程度、応募資格3条件(4年制大学卒業見込みまたは卒業/就業経験のない方/1997年4月2日以降に生まれた方)、初任給、諸手当、昇給・賞与、勤務地、勤務時間、定年
  4. 松竹 新卒採用サイト 採用フロー図確認日:2026-09-09 / 募集要項ページに掲載されている採用フローの図。エントリーシート・動画・WEBテスト → グループ面接・グループディスカッション → 個人面接 → 最終面接 → 内々定
  5. 松竹 新卒採用サイト 働く人々を支える制度確認日:2026-09-09 / 有給休暇の平均取得日数12.1日、休日・休暇、フレックスタイム制とテレワーク・時短勤務、出産・育児と介護の制度、借り上げ社宅(転勤者や実家から通勤1時間以上の新卒採用者に限る)、研修制度、各種福利厚生と利用者の声(自己啓発支援は費用の7割を会社負担・上限5万円/年間、映画演劇鑑賞補助は年間上限6,000円)
  6. 松竹 労働施策総合推進法に基づく中途採用比率確認日:2026-09-09 / 正規雇用労働者の中途採用比率。2023年度34%、2024年度63%、2025年度50%(公表日2026年8月4日)
  7. 松竹 会社概要確認日:2026-09-09 / 会社名、所在地、創業・設立、資本金、発行済株式総数、上場証券取引所、従業員数、大株主、主要な借入先

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