どの大学から入っているのか。大学側の公表資料で確かめる

会社が採用大学を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学が自分で出している進路資料を集めて、そこに載っている企業名を1件ずつ確認しています。キッコーマンについて、現時点で確認できたのは次の4大学です。いずれも「主な就職先」「就職実績」「就職先一覧」といった見出しの下に社名がありました。[4] [5] [6] [7]‌‌​​​​​‌‌‌​​​​‌​‌‌‌​​‌‌​​​​​‌​​​‌​‌​​​‌​‌​​‌‌‌‌​‌​‌‌​‌‌‌‌​‌‌‌‌‌​

キッコーマン株式会社を就職先として掲載している大学(大学公式資料。確認日は出典欄に1件ずつ)
大学・学部(学科)掲載されている資料と見出し資料が示す対象年度
龍谷大学 先端理工学部学部別の就職実績一覧に「キッコーマン株式会社」2023年度
中京大学 国際学部学部ごとの「主な就職先(過去3年)」に「キッコーマン」2022〜2024年度実績
京都工芸繊維大学 工芸科学部(課程の対応は資料の体裁上特定できない)「令和7年度卒業・修了者 就職先一覧」の学部の欄に「キッコーマン株式会社」令和7年度卒業者
京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科(専攻の対応は同様に特定できない)同じ一覧の大学院の欄に「キッコーマン株式会社」令和7年度修了者
駒澤大学(同社が運営する総合病院での勤務)学科別の就職先一覧に、キッコーマン株式会社と、同社が運営する総合病院の名前が並記されている2024年度卒業生(2025年3月卒)
[4] [5] [6] [7]

4大学の学部の並びを見てください。先端理工学部、国際学部、工芸科学部、医療系の学科。理系と文系が両方入っていて、しかも国際学部のような、食品や化学とは直接つながらない学部からも入っています。会社の募集要項もそのとおりで、事務系の募集予定学科は「学部学科不問」の1行です。[1] [4] [5]

会社が学歴・専攻について書いていること(引用)

キッコーマンの募集要項には「募集予定学科」という欄があり、コースごとに条件が分かれています。事務系は「学部学科不問」、そのあとに「※理系の方の応募も可能です」と注記されています。研究・開発・生産系は「農学系学科、生物系学科、化学系学科など、理工系全学部、全学科」、エンジニアリング系は「理工系全学部、全学科」です。つまり、専攻の条件が付くのは理系の2コースだけで、そこも学科の指定ではなく「理工系全学部、全学科」という広い書き方です。[1]

応募資格の欄も見てください。「2026年秋もしくは2027年春に大学院または大学、高専を卒業見込みの方」。高専が大学・大学院と並べて書かれています。食品メーカーの募集要項で高専が明記されている例は多くありません。一方で、既卒の応募について書かれた行はありません。書かれていないことを「できる」とも「できない」とも読めないので、そこは会社に直接確かめる必要があります。[1]

採用活動ポリシーとして、会社はこう書いています。「『性別、年齢、国籍、人種、性的指向や障がい』に関係なく、応募者の適性・能力のみを基準として公平で公正な採用活動を行うことを約束します」。ここで大事なのは、この列挙に学歴が入っていないことです。「学歴で差別しない」と書いてある会社もありますが、キッコーマンはそう書いていません。会社が明言しているのは、募集の条件として事務系に学部学科の指定がないこと、そして年齢を基準にしないことまでです。選考で大学名をどう扱っているかは公開されていないので、そこは「分からない」が正確です。[3]

大学名で差がつかない土俵は、この会社では5つある

「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。キッコーマンが公開している募集要項・採用FAQ・求める人財像から特定できるのは、次の5つです。

土俵1:事務系の募集予定学科が「学部学科不問」の1行

採用予定人数が最も多いのは事務系の30名程度で、ここの募集予定学科は「学部学科不問」です。初期配属も「初期配属は限定せず、様々な職種に挑戦しながら、自分らしく成長できるフィールドを見つけ、キャリアアップを目指します」と書かれ、配属先の例として営業、営業企画、経理、人事、法務が挙がっています。学部で入口が閉じる作りにはなっていません。[1]

土俵2:高専が応募資格に明記されている

応募資格は「2026年秋もしくは2027年春に大学院または大学、高専を卒業見込みの方」です。高専を大学・大学院と並べて書いている以上、高専からの応募は会社が想定している経路だということです。大学名で不利を感じている人にとって、この1行は「学校の種類そのものを条件にしていない」という手がかりになります。[1]

土俵3:選考が面接中心で、回数が多い

採用FAQの「選考のポイントは何ですか」に、会社はこう答えています。「会社において最も重要だと考えるのは『人』です。ですから、採用選考においても面接を重視しており、なるべくたくさんの方と多くの回数を通じてお会いし、求める人財像にもありました『プロ人財』をめざす意欲のある方かどうかを判断したいと考えております」。実際、事務系の採用ステップはエントリーシート提出 → 書類選考 → 適性検査 → 一次選考 → 二次選考 → 三次選考 → 役員面接で、面接に相当する段階が4回あります。回数が多いということは、1回の印象で決まりにくいということでもあります。準備した分だけ返ってくる部分が大きい選考の形です。[1] [2]

土俵4:語れる中身が「学生時代に取り組んだこと」に置かれている

上に引用したとおり、会社は「学生時代を通じ、どんなことに取り組んできたのかということを通じて」語ってほしいと書いています。「プロ人財」の定義も、仕事における高度な能力・自律的な行動と成果・社内外のニーズを満たすことの3つで、どれも大学名では代替できません。さらに「自分の専門領域だけできればよいということではありません。自分の専門性を深めながら、周辺の分野や関連領域へ興味関心をもつこと、これが事務系、研究・生産系、エンジニアリング系を問わず共通に求められる資質となります」とも書かれています。専攻の名前より、そこから外へ広げた経験のほうを見る、と読めます。[3]

土俵5:配属が入社後の面接で決まる

FAQの「最初の配属はどのように決まるのですか」への答えはこうです。「入社後の新入社員研修期間中に配属面接を実施します。研修中での講義や職場見学などを通じて、自分のキャリアについて考え、面接で希望を伺います。その上で、本人の能力が生かせるよう配属先を決定します」。入口の時点で配属先が固定されるのではなく、入社後にもう一度希望を聞かれる、ということです。事務系を選んでおけば、入社後に希望を出せる幅が残ります。[2]

6つのコース。自分が戦う場所を1つ選ぶ

キッコーマンの新卒採用は6つのコースに分かれています。会社の説明を、そのまま並べます。

2027年卒の募集コースと採用予定人数(会社の募集要項)
コース職種・職務募集予定学科採用予定人数
職種1:研究・開発・生産系製造技術研究、商品開発、食品・酵素、食品加工等研究他農学系学科、生物系学科、化学系学科など、理工系全学部、全学科15名程度
職種2:エンジニアリング系プラントエンジニアリング(プラント建設、管理)、プロセスエンジニアリング(プロセス研究開発)理工系全学部、全学科5名程度
職種3:事務系初期配属は限定せず、営業・営業企画・経理・人事・法務他学部学科不問(※理系の方の応募も可能です)30名程度
職種4:事務系スペシャリスト1(経理コース)決算・税務・利益計画・資金管理等。初期配属は経理・財務などの関連部門学部学科不問若干名
職種5:事務系スペシャリスト2(デジタルコース)AI・デジタル技術を活用した業務変革。初期配属はIT・DXなどの関連部門学部学科不問若干名
職種6:事務系スペシャリスト3(海外営業コース)将来的に海外市場の営業・事業拡大。初期配属は国内営業部門学部学科不問若干名
[1]

この表で一番目を引くのは、事務系の30名程度という枠の大きさです。6コースの採用予定人数を足すと55名程度+若干名で、その半分以上が事務系にあります。しかも事務系だけが「初期配属は限定せず」と書かれていて、入ってから決める余地が最も大きいコースです。専攻に自信がない人が最初に見るべきは、ここです。[1]

応募の条件と、入社後の条件

会社が公開している条件(2027年卒/初任給などは2025年度実績)
項目公開されている内容
応募資格2026年秋もしくは2027年春に大学院または大学、高専を卒業見込みの方
併願6コースいずれも「他の応募コースとの併願はできません」
初任給(2025年度実績/東京基準)278,000円(修士了)/267,000円(学部卒)
昇給・賞与昇給年1回(4月)、賞与年2回(6月、12月)
勤務時間東京本社9:00〜17:35/野田本社8:00〜16:35/各営業支社9:00〜17:35/研究開発本部・商品開発本部8:00〜16:35(一部フレックスタイム制)
休日休暇週休2日、祝日、年末年始など年間休日125日(2025年度)、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、年次有給休暇
諸手当家族手当、通勤費、残業・休日出勤手当、食事代補助など
住まい社宅・独身寮完備。「自宅からの通勤ができない人には、社宅・寮を会社で用意しております」
異動CDP制度に基づき、入社後は8年間で2部署を経験する(途中1回異動する)ことを目安に、職務の区切りに応じて適宜異動
[1] [2]

異動についてのFAQの答えには、続きがあります。「同じ事業所内での異動もあるため、異動イコール転勤とは限りません。異動は、年1回の自己申告制度による本人の希望などを勘案し、キャリア形成上必要と判断されるところに異動します」。8年で2部署という目安と、年1回の自己申告。転勤の可能性を心配する人は、この2つを合わせて読んでください。[2]

公開されている数字を、どう読むか

この会社で読み解きに一番注意が要るのは、応募する相手が持株会社であるという点です。会社概要には「主な事業:持株会社としてのグループ戦略立案及び各事業会社の統括管理」と書かれています。しょうゆをつくって売っているのはキッコーマン食品株式会社などのグループ会社で、キッコーマン株式会社そのものは、それらを統括する会社です。[8] [9]

キッコーマン株式会社の会社概要(2026年3月31日現在/業績は2026年3月期)
項目公開されている数値
設立1917年(大正6年)12月7日
資本金11,599百万円
主な事業持株会社としてのグループ戦略立案及び各事業会社の統括管理
グループ会社56社(連結子会社及び持分法適用会社)
売上収益(連結)745,539百万円
事業利益(連結)79,512百万円
従業員数(連結)7,911名
本社野田本社(千葉県野田市)と東京本社(東京都港区)の2か所
[8]
新卒の採用実績(会社の募集要項)
採用人数
2018年27名
2019年36名
2020年40名
2021年21名
2022年27名
2023年21名
2024年30名
2025年42名
[1]

採用実績の数字は、年によって21名から42名まで倍近く動いています。2020年40名の翌年が21名、2023年21名の2年後が42名です。「去年たくさん採ったから今年も」とも、「去年少なかったから今年は」とも読めません。自分が受ける年の枠は過去の数字からは予測できない、というのが、この並びから言えることです。会社が出している2027年卒の採用予定人数(合計55名程度+若干名)のほうが、判断材料としては確かです。[1]

この記事を読んだあと、最初にやること

大学名を変えることはできませんが、ここまでに出てきた事実のうち、いくつかは今日から動かせます。順番に書きます。

  • 受けるコースを1つ決める。6コースは併願できません。採用予定人数が最も大きく、初期配属も限定されていないのは事務系(30名程度)です。専攻に自信がなければ、まずここを軸に考える。
  • 締切を先に押さえる。2026年卒のフローでは、研究・開発・生産系の第1回締切が3月1日、エンジニアリング系が3月8日、事務系が3月15日と、コースごとにずれています。しかも各コースに第2回締切があります。2027年卒は「選考方法の変更の可能性もございます」と会社が明記しているので、募集要項のページを直接見て確かめる。
  • 学生時代に取り組んだことを1つ、書き切る。会社は選考で見るものを「学生時代を通じ、どんなことに取り組んできたのか」と書いています。規模の大きさではなく、自分で課題を見つけて動いた話を、時系列と結果まで含めて書けるようにする。
  • 専攻の外側に触れた経験を足す。「自分の専門性を深めながら、周辺の分野や関連領域へ興味関心をもつこと」が3系統に共通して求められる資質だと書かれています。専攻と違う分野で手を動かした経験があれば、それは弱点ではなく、会社が明記している資質そのものです。
  • 面接の回数を前提に準備する。事務系は一次・二次・三次・役員面接の4段階です。1回で全部話そうとせず、同じ経験を角度を変えて話せるように分解しておく。
[1] [3]

最後に1つ。この記事の表に載っている4大学は、本コラムが調べた範囲での結果です。載っていないから入れない、という意味ではありません。逆に、載っているから入りやすい、という意味でもありません。会社が公開している条件(事務系は学部学科不問、高専も対象、選考は面接中心)と、大学の資料に残っている事実。この2つを手がかりに、自分が時間を使う場所を決めてください。[1] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

参照した資料

大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。

  1. キッコーマン 募集要項確認日:2026-09-10 / 6コースの職種・職務、併願不可の記載、採用予定人数、ES応募締切、募集予定学科(事務系は学部学科不問)、応募資格(大学院・大学・高専の卒業見込み)、採用実績2018〜2025年、初任給、諸手当、昇給賞与、勤務時間、休日休暇125日、社宅・寮、採用ステップ
  2. キッコーマン 採用FAQ(募集要項ページ内)確認日:2026-09-10 / 選考のポイント(面接重視・「なるべくたくさんの方と多くの回数を通じてお会いし」)、新入社員研修、配属面接、CDP制度と異動、海外勤務の人数(約100名前後)、社宅・寮
  3. キッコーマンの求める人財像確認日:2026-09-10 / 「プロ人財」の定義3項目、「入社時点で即求められるものではありません」「学生時代を通じ、どんなことに取り組んできたのか」、専門の周辺分野への関心が3系統共通の資質である旨、採用活動ポリシー(性別・年齢・国籍・人種・性的指向や障がいに関係なく適性・能力のみを基準)
  4. 龍谷大学 就職実績一覧(2023年度)確認日:2026-09-09 / 先端理工学部の欄にキッコーマン株式会社
  5. 中京大学 就職サポート確認日:2026-09-09 / 国際学部の「主な就職先(過去3年)」にキッコーマン。2022〜2024年度実績。同じページの「学内セミナー参画企業」は説明会の参加企業なので使っていない
  6. 京都工芸繊維大学 令和7年度卒業・修了者 就職先一覧確認日:2026-09-10 / 学部(工芸科学部)の欄と大学院(工芸科学研究科)の欄の両方にキッコーマン株式会社。多段組みのため課程・専攻の対応は特定できない
  7. 駒澤大学 2024年度卒業生(2025卒)主な就職先確認日:2026-09-09 / 就職先一覧に、キッコーマン株式会社と同社が運営する総合病院の名前が並記されている。病院での勤務を指す
  8. キッコーマン 会社概要確認日:2026-09-10 / 設立1917年、資本金11,599百万円、主な事業は持株会社としてのグループ戦略立案及び各事業会社の統括管理、グループ会社56社、売上収益745,539百万円、事業利益79,512百万円、連結従業員7,911名(2026年3月31日現在/2026年3月期)
  9. キッコーマン 主要グループ会社確認日:2026-09-10 / 国内主要グループ会社の一覧(キッコーマン食品、キッコーマンソイフーズ、日本デルモンテ、マンズワイン、キッコーマンバイオケミファ、宝醤油、キッコーマン・マーケティングセンターほか)

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