どの大学から入っているのか。3大学の公表資料で確かめる
会社が採用大学の一覧を公開していなくても、大学の側が「この会社に就職した」と公表していることがあります。逆転就活コラムでは、大学の公式ページとPDFを直接開いて社名の前後を読み、見出しが「主な就職先」であることを確かめています。稲畑産業について、現時点で3大学の公式資料で確認できました。[5] [6] [7]
| 大学・学部 | 掲載されている資料 | 対象年度 |
|---|---|---|
| 名城大学 経営学部 | 「主な就職実績(2026年3月卒業者)」の経営学部の欄に「稲畑産業」 | 2026年3月卒業者 |
| 専修大学 ネットワーク情報学部 | 「令和7年度 卒業生〔一部〕の学部別主な就職先」のネットワーク情報学部の列に「稲畑産業(株)」 | 令和7年度 卒業生(一部) |
| 昭和女子大学 | 「過去3か年の主な就職先(2024年3月~2026年3月卒)」の【卸売・小売業】の欄に「稲畑産業」 | 2024年3月〜2026年3月卒 |
学部の顔ぶれを見てください。経営学部、ネットワーク情報学部。それに昭和女子大学が加わります。商社というと経済・法・商のイメージがあるかもしれませんが、情報系の学部から入っている例がここにあります。これは募集要項の「採用学科:全学部、全学科」という記載と矛盾しません。[1] [5] [6] [7]
もう1つ、専修大学のネットワーク情報学部という並びは、FAQの「文系理系の人数は定めず選考を行なっています。」という記載とも噛み合います。会社は理系の人数を公開していて、2022年はスタッフ職13名中4名、2023年は15名中5名、会社全体で「約2~3割が理系出身」と書いています。[2] [5] [6] [7]
会社が学歴・専攻について書いていること(引用)
稲畑産業の新卒募集は2職種です。スタッフ職とアシスタント職。募集要項の「採用学科」の欄は、どちらも同じ4文字で書かれています。「全学部、全学科」。[1]
文系・理系についてもFAQに答えがあります。「理系の割合は多いですか?」への答えは「文系理系の人数は定めず選考を行なっています。2022年の新入社員はスタッフ職13名中4名が理系、2023年では15名中5名が理系です。会社全体で言うと約2~3割が理系出身です。」。人数まで出しているので、比率を自分で確かめられます。[2]
この記事でいちばん取り上げたいのは、次の2つです。まずOB・OG訪問について。「OB・OG訪問は行っていますか?」への答えは「社員の紹介は行っておりません。ただし、大学のキャリアセンター等を通して社員と直接連絡を取り、訪問していただくことは可能です。また、採用選考の途中でリクルーターを紹介するステップがあります。」。会社の側から社員を紹介する仕組みが無い、と書かれています。[2]
もう1つはリクルーター面談です。採用フローの注記に「リクルーター面談は当社をより深く理解していただくために実施するものですので、選考の合否とは一切関係がありません。」とあります。「一切」という語まで使って否定しています。リクルーターがつくかどうかで結果が決まる、という前提は、少なくとも会社の記載とは違います。[1]
選考で何を見ているかも、めずらしく書かれています。「ES選考ではどこを見ていますか?」→「皆さんに書いていただいたESは採用担当が一枚一枚読んでいます。内容はもちろん、丁寧さやオリジナリティー等、様々な観点から選考を行っています。」。「面接ではどこを見ていますか?」→「面接官により違いはありますが、共通して言えることは、質問に対して自分の考えや思いを素直に自分の言葉で伝えてくれているかというところです。」。[2]
なおエントリーシートは手書きです。理由も書かれています。「エントリーシートは単なる書類選考ではなく、選考フロー全体を通して活用する大切なコミュニケーションツールだと考えています。応募者の皆様にはお手間をおかけしますが、ご自身の個性や思いを表現していただきやすくするため、あえて手書きでの作成をお願いしています。」。時間がかかる作業なので、日程の逆算に入れておいてください。[2]
ただし正確に書きます。会社が書いているのは学部・学科と文理についてであって、大学名については何も書いていません。大学名が選考でどう扱われているかは公開されていないので、「分からない」が正確な答えです。この記事が示せるのは、上の記載と、3大学の公式資料に社名が載っているという事実だけです。[1] [2] [5] [6] [7]
大学名で差がつかない土俵は、この会社では5つある
「学歴に頼らず勝負する」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名で動かないかを見つけて、そこに時間を使うということです。稲畑産業の公開情報から特定できるのは次の5つです。
土俵1:つてが要らない設計になっている
会社の側から社員を紹介する仕組みが無く、リクルーター面談は合否と関係がないと書かれています。OB・OG訪問の数で差がつく前提が、この2つの記載によって崩れます。訪問したい場合は「大学のキャリアセンター等を通して社員と直接連絡を取り」と書かれていて、これは大学の規模に関わらず誰でも使える経路です。[1] [2]
土俵2:採用学科が「全学部、全学科」
スタッフ職もアシスタント職も、採用学科の欄は同じです。文理の人数も定めていないと書かれています。専攻で入口が閉じることがない、ということです。[1] [2]
土俵3:採用人数が5年分公開されている
スタッフ職は2022年入社から順に13名・15名・15名・16名・13名(大卒と院卒の合計)、アシスタント職は13名・15名・19名・8名・8名。応募者数は公開されていないので倍率は出せませんが、母数の規模は分かります。数十名規模の採用だと知ったうえで受けるのと、知らずに受けるのとでは、日程の組み方が変わります。[1]
土俵4:入社後の配属が「入社2年間で両方」と決まっている
FAQに「本人の適性を会社が判断し配属を決めます。内定後、配属が決定するまでの間に希望する部署や勤務地を聞き、参考にしています。また、入社2年間で管理部門・営業部門の両方を経験していただき、3年目に本配属が決定します。」と書かれています。入社時点の知識や人脈ではなく、2年かけて決まる設計です。[2]
土俵5:手を挙げる制度が名前つきで公開されている
「社員本人の希望により、新しい部署や仕事にチャレンジできる『社内公募制度』や『キャリアアップ申告制度』も2022年からスタートしています。」。さらに海外については「若手社員の育成を目的に入社3年目頃の社員を数カ月間海外現地法人へ派遣する『海外トレーニー制度』も2023年よりスタートさせ」と書かれています。入社後に自分から動ける道が、制度の名前つきで示されています。[2] [4]
2つの職種と、採用実績
募集要項は職種の定義から始まります。スタッフ職は「営業部門・管理部門において、基幹的業務を担当する職種です。代表的な仕事は、営業部門の営業担当です。ある商材の仕入れから販売まで一貫して担当し、モノとお金が円滑に動くよう様々なことに対応します。」。アシスタント職は「営業部門・管理部門において、サポート的な業務を担当する職種です。代表的な仕事内容としては、営業部門での受発注業務や、物流管理業務です。」。[1]
| 入社年 | スタッフ職 | アシスタント職 |
|---|---|---|
| 2026年入社 | 大卒13名・院卒0名 | 大卒8名・院卒0名 |
| 2025年入社 | 大卒12名・院卒4名 | 大卒8名・院卒0名 |
| 2024年入社 | 大卒12名・院卒3名 | 大卒19名・院卒0名 |
| 2023年入社 | 大卒11名・院卒4名 | 大卒15名・院卒0名 |
| 2022年入社 | 大卒11名・院卒2名 | 大卒13名・院卒0名 |
この表で分かることが2つあります。1つは、アシスタント職の院卒が5年間すべて0名であること。もう1つは、アシスタント職の人数が2024年入社の19名から2025年・2026年の8名へ大きく減っていることです。年によって枠が変わる職種だと分かります。[1]
選考フローも職種で違います。スタッフ職はエントリーシート提出、グループディスカッション、面接、筆記試験・適性検査、面接、リクルーター面談、最終面接の7段階。アシスタント職はエントリーシート提出、面接、筆記試験・適性検査、最終面接の4段階です。スタッフ職のほうが面接の回数が多く、その分だけ準備の期間も要ります。[1]
海外の関わり方も具体的な数字で公開されています。海外事業拠点数は「19ヶ国 約70拠点」、海外売り上げ比率は「55%」(日本から海外への輸出含まず、25年3月期)、年間海外出張はのべ1,500件超・のべ1,100人超、海外出張先国数は45カ国。海外駐在員については「海外駐在員の数は現在約100名で今後は更に増える傾向にあります。入社後3年程度で駐在するケースもあります。」とFAQに書かれています。[2] [4]
応募できる条件と待遇
- 募集職種:スタッフ職/アシスタント職(併願不可)
- 採用学科:両職種とも「全学部、全学科」
- 初任給:スタッフ職は院卒335,000円・大卒320,000円/アシスタント職は院卒274,000円・大卒260,000円・短卒238,000円
- 諸手当:スタッフ職は役職手当、家族扶養手当、住宅手当、別居手当、時間外勤務手当、通勤費 他/アシスタント職は住宅手当、時間外勤務手当、通勤費 他
- 試用期間:両職種とも3か月
- 昇給:年1回(7月実施)。賞与:年2回
- 勤務時間:9:00〜17:10(休憩時間12:00〜13:00)。勤務時間・昼休憩時間の繰上げ繰り下げ取得可、テレワーク勤務制度あり
- 休日:完全週休2日制(土曜、日曜)、祝日、創立記念日(6/10)、夏期休日(8/15)、年末年始(12/30〜1/4)
- 休暇:年次有給休暇最大20日(初年度15日)、特別休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア活動休暇、産前産後休暇、子の看護休暇、介護休暇 他
- 勤務地:スタッフ職は大阪、東京、名古屋、岩手、塩尻、静岡、浜松、九州、海外/アシスタント職は大阪、東京、名古屋(勤務地限定の職種で、入社後の転勤は原則なし)
- 住まいの支援:住宅手当のほか、「通勤圏内に実家がないスタッフ職希望者は寮に住むことができます。」/転勤時の借上社宅制度
- 認定:くるみんマーク取得、健康経営優良法人認定(ホワイト500)、ハタラクエール福利厚生推進法人認定
短大卒の初任給が書かれている点にも触れておきます。アシスタント職の処遇欄は「院卒:274,000円、大卒:260,000円、短卒:238,000円」。短期大学からの応募が想定されている、ということです。[1]
制度の細かさも目を引きます。子の看護等休暇と介護休暇は「10分単位で休暇を取得できます」、育児時短勤務は「子が小学3年生の終期まで、勤務時間を最大90分短縮できます」、介護積立休暇は「失効する年次有給休暇のうち最大60日まで介護時に利用できる休暇として積み立てることができます」。長く働く前提で組まれた制度が並んでいます。[3]
公開されている数字で、輪郭をつかむ
この会社を数字で見るとき、いちばん特徴が出るのは海外の比率です。海外売り上げ比率55%(日本から海外への輸出含まず、25年3月期)。会社の説明では「実は稲畑のビジネスの市場は国内よりも海外のほうが広い。」と書かれています。[4]
拠点は「19ヶ国 約70拠点」。歴史も古く、「稲畑の海外事業の歴史は古く、今から110年以上前にまでさかのぼる。1908年に中国・天津に支店を設立して以来、世界の各エリアに拠点を展開してきた。営業拠点だけでなく、製造加工拠点や研究開発拠点まであるのが特長。」と説明されています。[4]
海外駐在の広がり方も数字で出ています。「海外駐在員の比率 営業のうち4人に1人」「複数カ国経験者 駐在経験者のうち36%」。会社はこれについて「海外駐在はグローバルに働きたい人にとって憧れそのものだが、その切符を手に入れるのはほんの一握りという企業も少なくない。その点、稲畑には多くの社員に海外駐在の可能性があるといえる。ベテランだけでなく、入社5年目以内の若手が抜擢されることも珍しくない。」と書いています。[4]
採用の数字も、この節に置き直しておきます。2026年入社はスタッフ職13名・アシスタント職8名の合計21名。5年間の合計はスタッフ職74名・アシスタント職63名です。1学年で数十名という規模なので、大量に採る会社とは選考の設計が違うと考えたほうが自然です。[1]
30日でやること。大学名では動かない部分から埋める
ここまでの内容を、行動に落とします。以下は組み立て方の例で、この通りにやれば通るという意味ではありません。
- 1〜3日目:スタッフ職とアシスタント職のどちらで応募するかを決める。併願はできない。判断材料は勤務地(スタッフ職は海外を含む9か所、アシスタント職は3か所で転勤は原則なし)と選考の段数(7段階と4段階)
- 4〜7日目:エントリーシートは手書きなので、下書きを先に作る。清書の時間を日程に組み込む。「丁寧さやオリジナリティー等」を見ていると会社が書いているので、書き上げてから読み返す時間も取る
- 同じ週:OB・OG訪問をしたい場合は、自分の大学のキャリアセンターに問い合わせる。会社からの社員紹介はないと明記されているので、経路はここになる
- 8〜14日目:海外の数字(拠点19ヶ国・約70拠点、海外売上比率55%、海外出張先45カ国)を読んで、自分がどう関わりたいかを言葉にする。入社3年目頃の海外トレーニー制度があることも押さえておく
- 15〜21日目:スタッフ職ならグループディスカッションが2番目にある。1人で準備しにくい工程なので、大学のキャリアセンターや友人と練習の機会を作る
- 22〜30日目:面接では「質問に対して自分の考えや思いを素直に自分の言葉で伝えてくれているか」を見ると書かれている。用意した文章を暗記するより、聞かれたことに答える練習をする
志望動機も、公開されている事実から組み立てます。たとえば海外売上比率55%という数字を見て、日本にいながら海外とやりとりする働き方を具体的に想像したなら、それは自分の言葉で話せる出発点です。「グローバルに活躍したい」だけでは、他の誰が書いても同じ文章になります。入社2年間で管理部門と営業部門の両方を経験する仕組みも、受け止めたうえで応募していると伝わるように書いてください。[2] [4]
採用の条件・日程・待遇は年度によって変わります。ここに書いた内容は、稲畑産業の公式採用サイトと各大学の公式サイトで確認したものです(資料ごとの確認日は出典欄に1件ずつ書いています)。応募の前に、必ず最新の募集要項を見てください。どちらの職種が自分に合うか、経験をどう言葉にするかで迷ったときは、逆転就活塾の無料相談で一緒に整理することもできます。
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- 稲畑産業 新卒募集要項(スタッフ職・アシスタント職)確認日:2026-09-10 / スタッフ職とアシスタント職の職種定義、試用期間3か月、初任給と諸手当、昇給・賞与、勤務時間とテレワーク勤務制度、休日・休暇、勤務地、採用学科「全学部、全学科」、2022〜2026年入社の採用実績(大卒・院卒の別)、職種ごとの採用フローとリクルーター面談は「選考の合否とは一切関係がありません」の注記
- 稲畑産業 新卒採用 よくある質問確認日:2026-09-10 / OB・OG訪問「社員の紹介は行っておりません。」、スタッフ職とアシスタント職の併願不可、エントリーシートが手書きである理由、ES選考と面接で見ている点、理系の割合(2022年13名中4名・2023年15名中5名・全体で約2〜3割)と「文系理系の人数は定めず選考を行なっています。」、配属の決め方(入社2年間で管理部門・営業部門の両方、3年目に本配属)、社内公募制度・キャリアアップ申告制度(2022年〜)、海外出張と海外駐在員約100名、海外トレーニー制度(2023年〜)
- 稲畑産業 福利厚生と多様な働き方の支援確認日:2026-09-10 / くるみんマーク・健康経営優良法人(ホワイト500)・ハタラクエール福利厚生推進法人の各認定、出産・育児支援(子出生時特別休暇、産前産後休暇、育児休業、産後パパ育休、育児時短勤務、育児時差出勤、子の看護等休暇、早期復職支援)、介護支援(介護休業、介護休暇、介護積立休暇、介護時短勤務ほか)、住まいの支援(住宅手当・寮制度・借上社宅制度)、資産形成の支援、駐在員の支援、社員の健康、保養所
- 稲畑産業 数字で知るWORLDWIDEな働き方確認日:2026-09-10 / 海外事業拠点数19ヶ国・約70拠点、海外売り上げ比率55%(日本から海外への輸出含まず・25年3月期)、年間海外出張のべ1,500件超/のべ1,100人超、海外出張先国数45カ国、海外駐在員の比率(営業のうち4人に1人)と複数カ国経験者36%、海外事業の歴史(1908年 中国・天津に支店)、海外トレーニー制度(新卒3年目のスタッフ職が対象)
- 名城大学 主な就職実績確認日:2026-09-09 / 主な就職実績(2026年3月卒業者)。経営学部の欄に稲畑産業
- 専修大学 令和7年度 卒業生〔一部〕の学部別主な就職先確認日:2026-09-09 / 学部が横に並ぶ表。6列目のネットワーク情報学部の欄に稲畑産業(株)
- 昭和女子大学 過去3か年の主な就職先確認日:2026-09-09 / 過去3か年の主な就職先(2024年3月~2026年3月卒)。【卸売・小売業】の欄に稲畑産業