どの大学から、どの学部から入っているのか
会社は採用実績校を公開していません。かわりに、大学の側が「この会社に就職した」と自分で公表しています。逆転就活コラムでは、大学が公式サイトや進路資料に載せている企業名を集めて確認しています。IHIについては、次の9大学の資料で名前を確認できました。
| 大学・学部 | 掲載されている資料と欄 | 対象年度 |
|---|---|---|
| 岩手大学 大学院 総合科学研究科 | 岩手大学が公開している令和3(2021)年度の進路先一覧(学部・研究科ごとにページが分かれた1つのPDF)の総合科学研究科修了生のページに「株式会社IHI 1」と、人数まで記載 | 2021年度・1名 |
| 岩手大学 大学院 総合科学研究科 | 同じ形式の令和4(2022)年度の進路先一覧の総合科学研究科修了生のページに「埼玉県 株式会社IHI 1」 | 2022年度・1名 |
| 中央大学 理工学部(大学院含む) | 「2025年度卒業生の主な就職先(就職者2名以上の企業・機関)」に「IHI 2」 | 2025年度・2名 |
| 立命館大学 法学部 | 「学部別進路・就職状況」法学部の「進路・就職先一例」に「(株)IHI」 | 2023年度 |
| 関西大学 法学部 | 「就職先一覧(2024年度)」の「製造業」の欄に「IHI」 | 2024年度 |
| 名城大学 理工学部 | 「主な就職実績(2026年3月卒業者)」の理工学部の欄に「IHI」 | 2026年3月卒 |
| 日本大学 | 「令和6年度 卒業生の主な就職先(主業種順・五十音順)」に「㈱IHI 機械」 | 令和6年度 |
| 日本大学 工学部 | 「主な就職先」の(令和元年度)の欄に「IHI(株)」 | 令和元年度 |
| 高知工科大学 大学院 修士課程 | 「就職先企業名一覧」修士課程の「製造業」の欄に「(株)IHI」 | 2024〜2026年度卒業 |
| 大阪産業大学 | 「就職実績」の「その他製造業」の欄に「㈱IHI」 | 記載なし |
| 兵庫県立大学 工学部 | 「過去3年間の進路先」の「主な進路(進学先・企業名)」に「IHI」 | 過去3年 |
学部の内訳を見てください。立命館大学と関西大学は、どちらも法学部の資料です。重工メーカーですが、法学部から入っている人が、別々の2つの大学の資料で確認できます。[6] [7]
この表には限界もあります。人数を書いているのは岩手大学と中央大学だけで、ほかは「主な就職先」に社名が載っているだけです。載っていない大学から入っていないという意味でもありません。「この大学から入った実績が、大学自身の資料で確認できる」——分かるのはそこまでです。
技術系と事務系で、募集学科の欄が違う
IHIの採用情報のページは「技術系」と「事務系」でタブが分かれていて、募集要項もそれぞれ別に書かれています。応募資格は共通ですが、募集学科と募集職種が違います。[1]
| 項目 | 技術系 | 事務系 |
|---|---|---|
| 応募資格 | 2027年3月末までに大学、高専、大学院(修士課程・博士課程)を卒業・修了または卒業・修了見込の方。※既卒の方でも卒業後3年以内は新卒として応募が可能です | 同左 |
| 募集学科 | 機械、航空、電気、制御、物理、土木、化学、材料、情報 など | 全学部全学科 |
| 募集職種 | 研究開発、開発・設計、品質管理、生産技術、建設、保守、情報システム など | 営業(海外、国内)、調達、企画・管理(業績管理、生産管理、DXなど)、コーポレート(法務、財務など) |
| 選考 | プレエントリー → 選考応募(ES提出、適性検査)→ 選考(書類・複数回の面接)→ 内々定 | 同左 |
事務系の募集学科は「全学部全学科」です。大学名についての条件は、技術系にも事務系にも書かれていません。事務系については「ご自身の希望や適性を踏まえ、職種や配属部門を決定します」とも書かれていて、応募の時点で職種を1つに絞る形にはなっていません。[1]
国籍については、注意書きがあります。「当社は事業の特性上、国籍によっては日本および海外の法令・政省令・通達等により、配属や従事いただく業務に制限がかかる場合がありますので予めご了承ください」。一方でFAQでは「技術系・事務系とも、海外からの留学生の方を積極的に採用しています。弊社に興味のある方は是非エントリーしてください。(毎年採用実績あり)」とも書かれています。応募できないという意味ではなく、配属先に制限がかかる場合がある、という書き方です。[1]
会社が数字と一言で答えている、4つのこと
「学歴に頼らずに戦う」というのは気持ちの問題ではなく、選考のどの部分が大学名や環境で動かないのかを見つけて、そこに時間を使うということです。IHIの採用FAQは9問だけと短いのですが、その中に学生が最も気にすることへの直接的な回答が入っています。[1]
1つ目:「大学院と学部で有利不利はありません」
質問は「理系ですが、大学院と学部で選考上の有利不利はありますか。」。回答は一行です。「大学院と学部で有利不利はありません。」。技術職では修士でないと不利だと思い込んで応募をやめる人がいますが、この会社はそれを自分の言葉で否定しています。学部卒で技術系を受けるかどうか迷っているなら、この一文が判断材料になります。[1]
2つ目:「OBOGの紹介は行っておりません」
質問は「OBOGの紹介をして欲しいのですが。」。回答は「OBOGの紹介は行っておりません。」。制限のように読めますが、立場によって意味が変わります。大学に卒業生のつながりがない人、研究室やゼミの先輩が業界にいない人にとっては、その差が最初から発生しないということです。全員が同じ土俵で受けます。[1]
3つ目:残業時間が数字で出ている
質問は「残業はありますか。」。回答は「部門や職種、また時期によって繁閑がありますが、全社平均で一人当たり月22.3時間(2024年度実績)です」。「残業は少なめです」ではなく、年度つきの数字で答えています。他社と比べるときに、印象ではなく数字で比べられます。休日出勤についても「業務の繁忙期は休日出勤する場合があります。なお、休日出勤する場合は、振替休日を取得するようにしています」と、あることを認めたうえで扱いを書いています。[1]
4つ目:実家から通えなくても住む場所がある
質問は「寮はありますか。」。回答は「勤務地を問わず実家から通勤できない場合は、男女とも独身寮に入寮することができます。寮費は10,000円~19,000円程度/月です。(寮によって異なります)」。勤務地は東京、神奈川、群馬、福島、兵庫、広島などに広がっています。家賃を理由に応募先を地元に絞ろうとしている人は、この条件を先に見てください。月1万円台で住めるなら、選べる会社の範囲が変わります。[1]
事務系で入ると、どこに配属されるのか
「全学部全学科」で募集していると分かっても、入ったあと何をするのかが見えないと志望動機は書けません。IHIは事務系の募集職種を「営業(海外、国内)、調達、企画・管理(業績管理、生産管理、DXなど)、コーポレート(法務、財務など)」と書いています。そして社員インタビューのページで、事務系の職種を営業・調達・企画・管理・財務・法務・人事の6つに分けて公開しています。[1] [14]
| 職種 | 所属 | 入社年 |
|---|---|---|
| 人事 | 本社部門 | 2009年入社 |
| 財務 | 本社部門 | 2011年入社 |
| 調達 | 資源・エネルギー・環境事業領域 | 2012年入社 |
| 企画・管理 | 産業システム・汎用機械事業領域 | 2013年入社 |
| 営業 | 社会基盤事業領域 | 2016年入社 |
| 法務 | 本社部門 | 2017年入社 |
この表から分かるのは、事務系の配属先が「本社部門」と「事業領域」の2種類に分かれていることです。人事・財務・法務は本社部門、営業・調達・企画・管理は事業領域(社会基盤、資源・エネルギー・環境、産業システム・汎用機械など)に配属されています。志望動機を書くときは、会社全体ではなく「どの事業領域の、どの職種か」まで具体的に想像しておくと、面接で聞かれたときに答えられます。[14]
公開されている待遇と、働き方の制度
- 初任給(2025年4月実績)は修士了309,500円/大卒285,000円/高専卒248,500円
- 昇給は年1回(4月)。諸手当は超過勤務手当、通勤交通費など
- 主な勤務地は東京、神奈川、群馬、福島、兵庫、広島など
- 勤務時間は本社・事業所・研究所が8:30〜17:30、工場が8:00〜17:00。標準労働時間8時間
- 完全週休2日制(土・日)、祝日、年末年始連休、5月連休、夏季連休、盆連休。年間休日日数125日(2025年度)
- 年次有給休暇は初年度より22日
有給休暇が初年度から22日というのは、法律の下限(入社半年後に10日)の2倍以上です。しかも会社は、その22日とは別に「チャイルドケア休暇」という特別休暇があると書いています。「年22日の年次休暇とは別に、子供の育児・看護をするために使用できる特別休暇があります。小学校卒業までの子を養育する社員が利用できます」。[1] [2]
- 在宅勤務は「リモートとオフィスの組み合わせを前提とした、多様な働き方ができる環境を整備しており、在宅勤務の利用を拡大しています」
- 育児休業は一歳到達後の4月末日まで取得可能(保育園に入園できなかった等の場合は最長3歳まで延長)
- 短時間勤務は小学校卒業まで利用できる
- 育児休業の取得者数と復職率を12年分公開(2024年度は233名・復職率100%)
- 配偶者転勤休職制度がある(配偶者の転勤に同行する場合。勤続3年未満の者等は対象外)
- キャリアリターン・エントリー制度(勤続1年以上で自己都合退職した社員の再入社を、一定の条件を満たす場合に認める)
- 「悠悠連休」の取得推進(土日祝に年次休暇をつなげて4・5日程度の連休を計画的に取る制度)
- 独身寮・新婚社宅・転勤社宅、従業員持株制度(会社から奨励金10%)、財産形成貯蓄制度、住宅資金融資制度、教育資金融資制度
- 経済産業省等から「健康経営優良法人2025」に認定
応募する前に、この順番で読む
ここまでは会社が公開しているページの記載だけで書きました。最後に、応募までに自分で確かめる順番を置きます。
- まず採用情報のページを開いて、「技術系」と「事務系」のタブを両方見る。募集学科の欄が違う(事務系は「全学部全学科」)
- 応募資格の注記を読む。既卒でも卒業後3年以内なら新卒として応募できる
- FAQの8番と9番を読む。「大学院と学部で有利不利はありません」「OBOGの紹介は行っておりません」
- FAQの2番で残業時間(月22.3時間・2024年度全社平均)、7番で寮(月10,000〜19,000円程度)を確認する
- 主な勤務地は東京、神奈川、群馬、福島、兵庫、広島など。転勤の可能性を含めて考える
- エントリーは会社のマイページから。外部ナビサイトから登録した場合も、あらためて会社のマイページでプレエントリー(本登録)が必要
最後の1つは見落としやすいところです。FAQには「外部ナビサイトからプレエントリーいただくと、IHIマイページに情報が取り込まれ、IDが発行されますので、あらためてIHIマイページからログインいただき、プレエントリー(本登録)をお願いいたします。本登録が完了すると、『セミナー・説明会』『応募手続き』などの各種コンテンツをご利用いただけます」とあります。ナビサイトで登録しただけでは応募手続きに進めない、ということです。[1]
この記事に書いたことは、すべて2026年9月9日時点で公開されていた記載です。募集要項は年度ごとに変わります。応募する前に、必ず会社の最新のページで確かめてください。[1] [2]
参照した資料
大学・機関が公開する情報と、編集部による進め方の提案を分けて掲載しています。採用条件や支援の受付状況は変更されるため、利用時に公式情報をご確認ください。
- IHI 採用情報(募集要項・FAQ・待遇)確認日:2026-09-09 / 技術系・事務系の募集要項、採用FAQ9問、初任給と休日
- IHI 支援制度・福利厚生確認日:2026-09-09 / 寮・社宅、育児支援、在宅勤務、育児休業の取得状況
- 岩手大学 令和3(2021)年度 卒業・修了者 進路先一覧確認日:2026-09-09 / 学部・研究科ごとの進路先と人数(総合科学研究科のページを参照)
- 岩手大学 令和4(2022)年度 卒業・修了者 進路先一覧確認日:2026-09-09 / 学部・研究科ごとの進路先と人数(総合科学研究科のページを参照)
- 中央大学 2025年度卒業生の主な就職先(理工学部)確認日:2026-09-09 / 就職者2名以上の企業と人数
- 立命館大学 学部別進路・就職状況(2023年度)確認日:2026-09-09 / 法学部の進路・就職先一例
- 関西大学法学部 就職先一覧(2024年度)確認日:2026-09-09 / 法学部の業種別就職先
- 高知工科大学 就職先企業名一覧(修士課程)確認日:2026-09-09 / 修士課程の業種別就職先
- 名城大学 就職実績確認日:2026-09-09 / 理工学部の主な就職実績(2026年3月卒業者)
- 日本大学 令和6年度 卒業生の主な就職先(主業種順・五十音順)確認日:2026-09-09 / 卒業生の主な就職先と主業種
- 日本大学工学部 キャリア・就職確認日:2026-09-09 / 年度別の主な就職先
- 大阪産業大学 就職実績確認日:2026-09-09 / 業種別の就職先一覧
- 兵庫県立大学工学部 過去3年間の進路先確認日:2026-09-09 / 工学部の主な進路
- IHI 社員インタビュー一覧確認日:2026-09-09 / 技術系・事務系の職種区分と社員の所属・入社年